エルフの監禁生活

第123話 反応が違う…

〜エルフ〜


この部屋にはテレビとか時計がないのに加えて窓もない、どれだけの時間が経ったのかわからない。

外からは、ずっと歌が聞こえる以外は何も聞こえない、物音ひとつしない。


暇だなぁ…


ちょっと前まで、私を此処に監禁してる犯人との顔合わせのことを考えてた。

犯人候補筆頭のリーナだったら、またエルフボディが慌てちゃうんじゃないかと不安だなってどうしようって悩んでた。


まぁ、考えても仕方ないと思ってやめたんだけどね。


「ふあぁ…」


眠気が襲ってくる…


何も出来ない空間だと眠くなってくる。

なんかお腹も空いてきた気もするし…


ガチャ


「お姉ちゃんおはよー!」


「!」


扉が開きハイテンションな女の子が入ってきた、服装は私と同じワンピース。


そして誘拐犯の正体はやっぱりリーナちゃんだった!


「久しぶり…」


「そうだね!

この前会った時は逃げちゃったもんね!」


「あぅ…」


楽しげな言葉と雰囲気だが、目に光はなく黒いオーラを出しながらゆっくり近づいてくる。


「私は逃げられちゃって寂しかったな!」


「……」


「感動の再会のはずだったのになぁー!」


めっちゃ怒ってない?

ごめんよ…


言い訳になるかもだけど、あの時はエルフボディが焦っちゃって仕方なかったんだよ。


「目をみて?」


真っ黒!!

あ、全体って意味じゃなくて雰囲気がね。


「ぅぅ…」


「私、寂しかったなぁ?」


「ご、ごめん…ね…」


私の謝罪を聞いてリーナが真顔になる、両手で私の顔を押さえて更に近づいてくる。


「なにがぁ?」


「え、あ…逃げちゃって、その…」


「んー?」


「逃げちゃって、ごめんなさい…」


なんでだろう、間違いなく怒ってるのにあんまり怖くない?

というかエルフボディ結構平常心保ってるな。


「いいよぉ〜!」


ほっ…


顔から手を離し、ニコっと笑って許してくれた。

優しく笑いながら頭を撫でてきた、優しい…


「んゅ…」


「謝れて良い子だねぇ〜。」


足元に畳んで置いてあった毛布を広げて一緒に横になる。

手枷と首輪で上手く動けない私を、リーナは手と足でしっかり固定した。


「本当はお姉ちゃんとお話したり、遊んだり、色々やりたいんだけど、私少し疲れちゃったから一緒に寝よ?」


「え…」


「…イヤナノ?」


いえ、嫌じゃないです…


「いいよ、寝よう…」


「良かった、おやすみ。」


「おやすみ…」


あったかいな。


「……」スー、スー…


寝るのはや!

そんなに疲れてたのか。


自力では抜け出せないし、私は変に行動しないで神様達の指示を待とう。

前回の時と違ってエルフボディが取り乱したりしないから問題は起きないだろうし。


「私も、寝よう…」



ーーーーー


冷たい建物の中

1人で過ごし、ご飯を持ってきてくれる人にイジワルされ、今日という日も終わると思ってた。


『私はリーナ!

貴方はだぁれ?』


『?』


『えへへ。

銀色の髪綺麗だね、同じエルフで初めて見たよ!』


目の前の女の子は違った。

初めてーーーしてくれた。


『ねぇねぇ!

なんで此処に1人でいるの?』


『……』


『むー、何か話そうよ〜。』


この日から私は変わったの。


ーーーーー



〜神様〜


…これは詰んだかの?


会議の後、リーナちゃんに持って行かれた魔道具を確認する事になって倉庫を見たんじゃが。


「なんもねぇじゃん。」


「ホントだねぇ。」


儂の持つ10個の倉庫のうち1つが完全に空っぽになってた。


「ほっほっほ、終わった。」


「終わったじゃないよ!

この倉庫にあった魔道具のリストは?!」


空っぽの倉庫の中で半分諦めてる儂とチャラ男、そして儂等にキレるロリ女神。


リスト、リストかぁ…


「確か此処のテーマは、『愛』だったよな。」


あー、確かそんなテーマじゃったなぁ。

想いに比例して強くなる装備とか、気持ちを誘導する装備とか

とにかく『愛』に関わる装備を保管してた。


「テーマはわかったからリスト!」


「無い。」


「はぁ?!」


そんな細かいの覚えてないわい、

見れば思い出すけど。


「じゃあ、やばい装備の情報だけでも良いから共有しよう。」


やばい装備か、

儂とチャラ男が作ったのが殆どじゃから全部やばいぞ?

まぁ強いて言うなら、


「『2人だけの部屋』『嫉妬指輪』

『使徒シリーズ』『天女シリーズ』

『憎悪のピアス』それと」


「待て待て、多すぎるよ!

それ全部やばい装備なの?!」


儂がヤバイ装備を厳選して名前だけ言ってると掘り女神が横入りしてきた。

気持ち冷や汗をかいてる様にもみえる。


「あぁ、全部ヤベェな。」


「…ほんとに?」


「ワンチャン神も倒せるし、全力で隠れたら俺達でも見つけるのめっちゃ苦労するレベル。」


問題はそこなんじゃよな、

隠れられたら見つけるのが難しい。


不幸中の幸いと言うべきか、他の倉庫に探知系最強の魔道具があるから見つからない事態には陥らない。


「ハハハ…よし、とりあえず少し休もう!

これは悪い夢かもしれないからさ。」


「諦めるんじゃロリ女神、此処は現実じゃよ。」


ハイライトが消えたロリ女神が乾いた笑いを溢しながら現実逃避した。


「はい注目〜。」


この空気を変える為か、チャラ男がホワイトボードを持って大きめの声で話し始めた。


「それぞれの役割を決めるぞ。


まず爺さんはリースの捜索、

ロリ女神は悪魔の捜索と監視、

俺はリースの不在を誤魔化す作業に、終わったらリース捜索に加わる。


はい行動!」


なんか真面目なチャラ男懐かしいのぉ。

陰から陽になってやる!って燃えてた時の最序盤みたいな、グループのリーダーになれば陽になれると勘違いしてウザがられてた時みたいじゃの。

あの時の事は今でも偶に揶揄う。


「あ、そうだ爺さん。」


「なんじゃロリ女神。」


「リースちゃんに私の世界見てもらいたいから、全部解決したら連れてっても良い?」


「リースたんが嫌がってなければ良いぞ。」


リースたんにはいろんな事を体験してもらいたいからの!

ついでに可愛い写真が撮れれば最高じゃ!





(へへ、バカめ。

リースちゃんを私の世界から帰りたくなくなる程、楽しませて、その後は…へへ)

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