第111話 仕方ない…最終手段だ!

〜エルフ〜


「えい…」


「クッ、ふぅ…体から力が抜けるよ〜。」


マッサージにも慣れてきた。

今なら15分全力でマッサージで寝落ちさせられる自信がある。

さっきまでマッサージしてた琴音さん、ソファの上で横になってる。寝てないけど。


っと、今は少しやばいんだ…


「今日は私が送迎します、前回はすいませんでした。」


「いえ大丈夫ですよ、私は準備してきますね。」


今日、朱音さん訓練の日だったみたい。

正直今は正体不明のストーカーも大量に居るし、この家から離れてほしくないんだよなぁ。


(やっぱりフラグだったか…)


ねぇチャラ男。

フラグってさ、フラグって言った瞬間に成立すると思うんだ。つまり最初にフラグって言ったチャラ男が戦犯だよね?


(…言われてみたらそうかもしれない。)


すんなり認めるのか。


(なにリースちゃんに迷惑かけてるんだよ、バーカ。)


(俺、ロリ女神が海で泳いでた時の映像持ってるんだけど、なんかネットにアップしたくなっちゃったなぁ〜。)


(やるのかおまえ!それやったら軍ちゃん呼ぶからな!)


チャラ男、調子でてきたじゃん。

てかそんなどうでも良い事より、どうしようかなぁ。

一応候補は考えたけど…


「朱音ちゃんはこれから通う事が増えるの?」


「そうですね。学校が再開するまでですが、かなり増えるかと。」


うーん、候補が1つ潰れた。

今日だけで期間が空くなら、エルフボディを最大限に利用して甘えて休んでもらう、が使えたけど連続だと流石にね。


「む〜…」


あと2つ、魔法を使って遠くから見守るか、説得して一緒に連れて行ってもらう。


魔法を使っての見守りは、集中しないといけないから本体がフワフワしちゃうんだよね。

説得で一緒に、1番確実だけどその説得がめっちゃ難しい。


ちなみに、神様達はケルベロスが来たら直ぐに対応できるように警戒中だから頼めない。


「ねぇねぇ…」


「リース様、どうしました?」


「私も、いって、いい…?」


「スー…少々お待ちください。」


あれ?

友美さんのチョロさが想像以上で、説得が成功しそうな雰囲気。


「待たせてしまってすいません、準備できました。」


制服に着替えて戻ってきた。


「友美さんは何処に?」


「電話しに行ったよ。リースが一緒に行きたいって言ってたし、その確認じゃないか?」


「え!リースちゃんがですか?!そんな…」


「…?」


思ってた反応と違うな。

もっと喜びを感じると思ったんだけど、今は心配とか恐れを多く感じる。


「リースちゃん、あそこはね性格の悪い美人と軽い感覚で骨折不可避の決闘をする人が沢山いる魔境なの、だから考え直して?」


性格の悪い美人?!

というか決闘って、まさか…


「私も戦いましたよ…特になにもしてないはずなのに終わって、意味わからなかったですが。」


そ、そんなにヤバいところだったのか…

尚更着いて行かないと、朱音さん危険だよ。


「許可は取れましたが…行きます?」


「いえ、リースちゃんはお留守番です。」


これは置いて行かれる流れか、

仕方ない…最終手段を使おう!


ガッ…


「おっと…いきなりは危ないですよ、どうしました?」


朱音さんの腰あたりに抱きついて無言。

なにも喋らない!


「うーん、そんなに行きたい?」


「………」うるうる


「…友美さん、リースちゃんも行きます。」


「わかりました。」


成功、我ながらなかなかの演技だった。


後は目をつぶって、寝たふり!

魔法で精霊も出さないと。



白仁朱音しらにあかね


私、超人気アイドル並みの視線集めてる気がする。


信じられない力で腰にしがみついてるリースちゃん。めちゃめちゃ可愛くて折れちゃったたけど、本当に此処には連れてきたくなかった。

多分だけどもう目を付けられちゃった。


「第3位だ…」


「本当だ、でも腰にしがみついてるのは誰だ?」


「わからないが、多分美少女だな。」


多分じゃねぇよ、リースちゃんは美少女だわ。


「今日は何をする予定なのですか?」


「たしか、模擬戦だったかと。」


また?

私また戦わないといけないの?


「近い順位でグループを組んで戦うらしいです。」


「それ、訓練として意味あります?」


「そうですね…」


友美さんが難しそうな顔してる、悩んでるのかな?


「魔法の事については、教えられる人が居ないんですよね。なので魔法使い通しで高め合ってもらうしかないんですよ、もちろん体術は別ですけどね。」


言われてみればそうか。

魔法の事なんて皆んなわかってないでしょうし、魔法図鑑があるだけ…なんであるんだ?


「10人ずつのグループなので…あそこですね、向かいましょう。」


友美さんの視線の先には、他のグループとは雰囲気が全然違う机に座る9人、私以外揃ってた。


「遅くなってすいません。」


「「「……」」」


「いえ、全然待ってないっす!師匠!」


1人反応してくれてよかった、全員に無視されたら泣くところだった。


それと言動で気づいたけど、お前はチンピラか!

髪が黒くなってオールバック、ピアスとかも大人しいのに変わってたから全然気づかなかったよ。


「……」


でも空気重すぎるよ…


近くのグループみたいにさ、もっとワイワイやろう?

自己紹介とかさ、どうよ?


「……」


リースちゃん抱っこしてよう…

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