第50話 寝落ちじゃなくて気絶では?

護國友美もりくにともみ


リース様、家にいる時は琴音様の膝に座ってますよね。

私の膝の上にも座ってくれないかな、私がまだ幼い頃、母に後ろから抱きしめられるの安心できて好きだったからリース様もそんな感覚なんでしょう。

まぁ私はリース様の好感度が定期的に下がってるから座ってくれないでしょうね…


悲しい…


「あれ、どうしたのリースちゃん?」


「……」すー


「まかさの寝落ち!」


あれは寝落ちって言っていいんでしょうか、どちらかと言うと気絶では?


「やはり学校は疲れるんでしょうか…」


「確かに疲れるでしょうがリース様は学校に行ける事を楽しんでると思いますよ、朱音様。」


カラオケ行きたいって説得してきた時のリース様の表情はとてつもない破壊力でした、あの顔でお願いされたら断れる人は多分いないでしょう。


「まだ少し早いですがベットに行きます?」


「うーん、行こうか。」


お二人は寝る様ですし久しぶりに妹に電話でもしましょう。


「んぅ…」


「起こしちゃった?ごめんね、今ベット行くから一緒に寝ーーーー」


「いや…」


「「「ん?」」」


リース様の雰囲気が変わった、怖いですね…


「怖いの…」


「大丈夫だよ〜、ここに怖いのないよ〜。」


「違うよ…私、何も知らなかった…始めて知った……」


「はじ、めて?」


「楽しいとか、嬉しいとか、美味しいとか、見てはいたけど初めて知った。」


見てはいた?白仁家の皆さんに聞いていた事情、少しだけ違う可能性が出てきましたね。

リース様がおじいちゃんと暮らしていたと言っていたらしいですが調べてみますか。


「暖かさも、寂しさも、全部全部。」


「…………」


「また失うんじゃ無いかって、私が消えるかもって…あの子の方が…」


「あの子?」


「私は、要らないのかなって…琴音と一緒に寝たり、ご飯食べたりできなくなるかもって……」


あの子とは誰なんでしょうか。

調べるのは止められてましたが私たちが知っておかなければいけない事です、連絡して聞いてみなければ。


「そんな事ないよ!リースちゃんは必要!これから先もずっと一緒にご飯食べて、一緒に寝て、いろんな思い出作るんだよ、だから悲しい事言わないでよ…」 


「一緒に居ていい…?」


「いいんだよ!朱音ちゃんもお母さんもずっと一緒だよ。」


「う、うえぇぇ……」


少し固まってると朱音様が近づいてきて小さな声で話しかけてきました。


「友美さん、リースちゃんの家族構成って知ってたりします?」


「わかりません、明日から調べる予定ではありますが。」


「そうなんですか…」


「心配ですか?」


「それはもちろんです。今リースちゃんが言ってた事少し考えてみたんですけど、暴力まではいきませんが放置されてたんじゃないかと思いまして。」


「ふむ、その可能性はありますね。」


今のリース様は過去にその様な経験をしてて急に不安が押し寄せてしまったんでしょうね、メンタルケアは琴音様に任せて連絡とって聞いてみますか。


「少し電話してきますね。」


「わかりました。」


ーーーーー


『ふむ、その様なことが。』


「はい、何か知ってるのではと。」


『残念だが私はリースの事情は話すことが出来ないのだよ、それが契約なのだ……』


契約?

そこまでして隠したいなんてリース様の過去に一体何があったんでしょうか。


『だがそうだな、あの方に連絡してみよう。時間かかるかもしれないがリースと暮らしていた方だ、教えてくださるかもしれない。』


「わかりました。」



〜エルフ〜


「…?」


おかしいな神様の所に行かなかった。


「り、リースちゃん不安とか消えた?」


顔近い!

いつの間にか琴音さんと向き合う形で抱きついてたんだが。


「ふあん…?」


怖いのってなんだろ?

神様にも謎に一瞬意識飛ばしただけで何もしてないし、その間に起きた変化も気づいたら琴音さんに抱き付いてたぐらい…


「覚えてない?」


「うん……」


「リースちゃんちょっと前までーーー」


「姉さん少し待ってください、その話は後にしましょう。」


ちょっと前まで気絶してました、なんて言えない雰囲気なんだけど!2人とも深刻な顔してるんですけど!


「もう時間遅いし寝よっかー。」


「わかった……」


多分誤魔化されてるけどしつこく聞いて嫌われたくないしいっか。


「じゃあベットにゴー!」


「おー……」


ーーーーー


「…………」


寝れない!

どうしたんですかエルフボディ、いつもだったら君ベット入ったらすぐに寝てたじゃんか!

なんで今日は寝ないん?明日も学校あるんだぞ。


「ぬー……」


なんだ今の鳴き声、どんな意味で出した。


「神〜……」ボソ


(呼んだ?)


さすがは神様呼んだらすぐ来てくれる!


(すいませんでした、許してください!)


「えぇ……」


なんで謝った?


(これからは無理矢理連れてくる事はしないぞ。)


あ、リビングでの話か。

これからは辞めてほしいけど少し意識無くなっただけだよね?


(……そうか。)


「…?」


(こっちの話じゃ。明日なんだがリースたんに守護者として活動してほしいんじゃが…)


今日は調子でも悪いの?いつも急に言ってきたじゃんか、別にいいよ。


(そっか、ありがとうのぉ。それで呼んだ理由はなんじゃ?)


あ、そうだった。

エルフボディが寝ないんだよ。


(なるほど……これ儂のせいじゃな)


え、神様のせいなの?


(今は忙しから寝ても儂の世界には来ないから安心して眠るといいぞ。)


(おーい、爺さん準備できたぞ!)


(本当か!早速始めるぞー!リースたんおやすみ〜)


忙しいって女神様に何させてるんだあの2人!


「ふあぁ……」


本当に眠くなってきた?!

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