第54話 試験

 ソリドは、結局勉強せずに、試験を迎えることになった。

「ふぁー、まだ眠みぃ…」

 あくびしながら、僕に話しかけてくる。

「まあ、何とかなるよ」

 僕はシーのジェスチャーをしながら小声で答える。


 受験生は、500人くらい(だいたいみんな15,6歳くらい)。学園の第一講堂から、第三講堂まで、受験生が埋め尽くしている。

 試験は、マーク式で、1000問を50分で解かなければならない。


 もちろん問題は、世界最高レベル。800問以上正解で、入学できる。

 

 え、無理くね?

 ”行けます”


「まぁ、魔術かけまくれば、何とか行けるっしょ」

 余裕のヴァルト君。

「魔術って使っていいの!?」

 し、知らなかった…。不正になると思うじゃん、普通。

「当然だろ。使えるものはすべて使わないと!」

 

「じゃあ楽勝だね」

 そういうと、試験官が行動に入ってきた。

「えー、じゃあ試験開始」

 そんな適当でいいんだ!?


 あ、解かないと。

 えーっと…。

 ”私にお任せを”

 いいの?ズルじゃない?

 ”私はあなたの所有物ですし、実力です”

 暴論だろ…。


 僕がペンを持ち直し、左手を紙に添えると、魔力が勝手に手に流れていく感覚がした。

 僕の目にもとまらぬ速さで、僕の手が勝手に動いていく。


 機械で書いたかのような綺麗な塗りつぶしの黒丸を、1000個書き終えてしまった。

 ”問題用紙を触りましたよね?”

 あ、そうか、勝手に触書魔術を使ってたのか…。

 ”ご明察”


 それを自覚すると、問題が全部頭に入ってきて、五分くらい激しい頭痛に襲われた。

 答えもパッと浮かんできて、確認のために、解答用紙を触ってみると、全部あっている。全問正解だね。

 ”暇ですね”

 そうだね。以外とあっさり終わっちゃったなぁ。

 ソリドとヴァルト君の様子が気になるけど…、見るとカンニング疑惑がかかるよね。

 

 ”魔術を開発しますか?第三の眼を”

 うおっ、何かかっこいい!!ドライ・アオゲンシュテルンとか?

 ”クソみたいなドイツ語ですね…”

 悪かったよ!!まぁ、それは置いといて、そんな感じの魔術を作ってほしいな。

 ”分かりました。実際に目ん玉を作ることもできますが?”

 

 気持ち悪いから、それはやめて…。

 ”では、どんな形にしましょう?”

 生き物とか…?蝶々とかだったら、可愛いよね。

 ”そうですね。それでは、魔術を発動すると、蝶々型の瞳ができる、という魔術を構築します。…構築中。…構築完了”


 では、さっそく。

 ”はい、蝶々は、色がきれいなものを厳選しました。ランダムです”

 いいねぇ。えーっと、瞳蝶どうちょう魔術?とか?

 ”いや、パピヨンアイで”

 なんで、英語とフランス語が混じってるんだよ…。


 てか、そういえば、僕前世ではドイツ語もフランス語も使えなかったけど?

 ”翻訳魔術が発動しています”

 あ、なるへそ。…、まぁ、パピヨンアイは、語呂良いから、採用しよう!!

 ”パピヨンアイを使用しますか?”

 うん、頼んだ。


 僕の目の前に、綺麗な蒼い蝶が構築されていく。

 自然魔力から作られた蝶は、僕の頭を貫通するように通ると、僕にその視界を見せてくれた。

 視界が上下して、少し酔いそうな感じだが、新鮮で面白い。


 ソリドは…、寝てるや。て、回答終わったのかな?

 まだ、試験は始まってから10分。流石に回答は(”フラグですね”)…。

 って、終わってるし(”回収完了ですな、乙”)。


 ヴァルト君は…、まだ書いてる。一応覗いていこう。

 えっと?あ、黒く塗りつぶしてる。流石にまだ終わらないよね(”フラグなんですって”)。

 って、絵描いてるし(”フラグ回収乙、知ってたでしょう?”)。結構アニメ絵だし、うまいな。推し描いてって言えば、描いてくれるかな?


 ア●クサ、うるさい。

 ”すいません、このいやらしい私にお仕置きをっ…!!(フラグ)”

 回収、乙!僕は思いっきり精神的にア●クサを殴った。

 

 ア●クサは、気絶した。

 

 …、え、マジ?

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