第18話 村長

 首都にいる村長は、どうやら、セクハラで捕まったらしい。

「な、何したんですか?」

 セクハラで捕まった村長の後を継ぐのは大変だろうな…。


「いや、女を触ったりとかはしてないけどよ、この前、久しぶりに来た商人に、女がいたんだけどよ、ウチ、女が少ねぇからどうにか若者に女をつくらせたかったんだよ。それで、猛アプローチをかけたら、セクハラだと勘違いされて、そのまま首都に連行されたんだ…」

「村長というと、御父上ですかの?」

「あぁ、爺さんだから、ボケ始めて、加減がわかんなくなってんのか知らんが、少し言い過ぎだったってのはあったな」


 うーん、村の若者を心配して、そうゆうことをしてくれる村長か。

「いい人なんだね」

「加減さえ間違えなければだな。それで、村長を探していたようだが、何か村長がいないとできないやつがあるのか?代理だとできないことも多いからな」

「いえ、挨拶しないとと思っただけで、特に要はありません」

「ならいいか、ところで坊主。この村を復旧させるとか言っていたが、金はねぇぞ?」


 特産物もないから、お金も稼げないんだよね。大変だぁ…。

「あぁ、大丈夫ですよ。いくらか家からパクってきたので。今頃、お金が十パーセントくらい足りなくて困ってますよ」

 執事長おじいちゃんが、うまい事盗んできてくれたんだよね。ありがとう!

「それ、大丈夫か?」


「はい、きっと泥棒でも入ったくらいで済みますよ」

 きっと、多分、うん、多分そうだ。

「それならいいんだが…。というか、家の村には業者もいねぇぞ?みんなで造って、暮らしてってんだよ」

「そうですね、僕には建築や土木の知識がありますので、そこらへんは大丈夫ですよ?ところで、泊まれるところってありますか?」


「大半の若者が、出稼ぎに出ちまってるから、だいたい空いてるぜ?好きに使ってくれ。トイレとか、風呂は共同だけどな」

「いえ、それだけあれば十分です。ありがとうございます」

 僕はぺこりと頭を下げ、ピーノとリーナに四人で泊まれそうな家を探してもらうことにした。


 ゾルフさんに、村の人を集めてもらって、説明会を開いてもらうことにした。

 少なくとも、五つの家の人に断られちゃったから、四人家族だとすると、二十人には嫌われちゃっている。やばいよ、大変だよ。でも、頑張ろう!

 執事長と話す内容を決めていたら、ぞろぞろと、人が集まりだした。


 合計百人くらい。そのうち三十人くらいが高齢者っぽくて、若者は五、六人くらいしかいないけど、子供は二十人ほどいる。大人が多い印象を受ける。

「これで今いる住民全員でっせ。さぁ、頼んだ」

「うん、」

 僕はつばを飲み込み、大きく深呼吸する。

 大きな声で、一言目を。


「ネンガ村の皆さん、こんにちは!今日から新しくネンガ村の領主になりました!カイム・セルトファディアです!よ、よろしくお願いしまーす!!!!」

 僕の小さな体から、発せられた大きな声は、住民たちを盛大に驚かしていた。

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