第10話 対応

 気づいたら、ベッドで寝ていた。

 馬車の中で眠っていしまったようで、夜ご飯は食べ損ねたから、腹時計が時間関係なく鳴ってしまった。

 窓を除くと、暗闇が世界を支配していた。


 深夜は廊下の光が消えているから、今つけると、迷惑になってしまうから、食堂にも行けない。

 さて、どうしようか?

 時計を見ると、もうすぐ深夜一時を迎えようとしている。

 一時半には、ピーノの見回りが来るはずだから、その時まで、魔術開発でもしよう。


 僕は、勉強机みたいなセットの椅子に腰を掛ける。

 目をつむって、ア●クサと会話するように話しかける。


 魔術開発がしたいんだけど?

 ”分かりました。機能などを具体的な例を交えて、説明してください”

 脳内は一人会話にも対応可能だから、馬車の中で、ア●クサと話してればよかったかな?まぁ、今更そんなこと考えても仕方ないか。

 そうだね、本に触るだけで、内容が分かるようにしたいな。


 ”言語はどうしますか?”

 うーん、日本語でお願い。

 ”分かりました。範囲は、本全体でよろしいでしょうか?”

 うん、常時発動系じゃなくて、意識して発動できるようにしてほしいな。

 ”術式を構築しています”

 うーん、早いな。魔術開発自体は初めてじゃないけど、やっぱり、早いんだよなぁ。魔法陣描くより、圧倒的に簡単だもん。

 ”構築完了しました。完成した魔術が、こちらです。触書魔法 範囲:触れた本全体 効果:読まずに本の内容を知る”


 前は、色の指定もあったような気がするけど…?あ、そうか、今回は色関係ないもんね。

 ありがとう、じゃあ僕はこれで。

 ア●クサに別れを告げ、目を開けて、壁掛け時計を確認する。


 一時半。ピーノが来る時間だ。三人にあんな態度取られちゃったから、来ないかもしれないな。うーん、行先不安だぞ、これ。

 だけど、ノックの音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼します。カイム様。起きていらっしゃったのですね」

「うん、眠れなくて」

 ピーノは時間通りに来てくれた。

「カイム様は、まだ五歳なんですから、早く寝てください。身長が伸びなくなっちゃいますよ?」


「えー、それは困るなぁ」

「ふふ、もう、それなら寝てください」

 優しく僕をなだめるような声で、僕を抱きかかえて、ベットへ連れてゆく。

 おろされた僕は、おとなしく、ピーノに従うことにした。


「…あの、カイム様」

「なぁに?」

「実は、私、儀式に付き添いのメイドとして、ついていったのですが、奥様と、ヒュールハイナ様が、あなたが努力していないと、仰っていたのです」

「努力していない?」


「…はい、いつも遊んでいたと、カイム様のスキル内容が分かった直後にお話しされていたのです。…っ、それは、私の責任でしょうか?私が、もっと、奥様に、早く、カイム様が、勉強に取り組んでいらっしゃると、お伝えしたら、こんなことにはならなかったのに…」

 ピーノが頬を赤くして、涙を浮かべながら、僕のほうへ語り掛ける。


「こんなこと?」

 えー、僕なんかしたかな?何かしたとか心当たりないなぁ。いや、ホントホント、まじまじ。

「詳しく、聞かせて」

 とりあえず、僕は、泣くピーノをどうにかしようと必死で、そう聞くしかなかった。


 第10話、対応を読んでくださりありがとうございます!!


 ピーノが泣いてる…うっ、ってなってくださった方は、ぜひ★評価お願いします!

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