#14 イケメンは童貞だけど出来る男
週末の土曜日。
アクア先輩が指定したアクア先輩の家の近所のショッピングモールで部活で使う食材の買い出し。
そのショッピングモールには、食料品を売っているスーパーマーケット以外にも、映画館や雑貨屋、服屋に靴屋に100均ショップに、コーヒーショップやファーストフード、ラーメン屋にファミレス、オシャレなカフェなども多数ある。
今日は、スーパーでロコモコ風ハンバーグの材料を購入したら、ファーストフードかファミレスで昼食食べて、その後は適当にお喋りしながらウインドショッピングかな。 食材あるから遅くまでウロウロ出来ないけど、二人キリで過ごす時間は、きっと今まで以上に親密度を上げることが出来るだろう。
約束の10時の15分前に待ち合わせ場所であるコーヒーショップに行くと、アクア先輩は既に来ていた。
俺が店内に入るとアクア先輩は立ち上がって大きく手を振って「マゴイチく~ん!こっちだよぉ~!」と呼んでいる。
手を振り返しながらアクア先輩の所まで早足で行くと、アクア先輩はニコニコの笑顔で俺を迎えてくれた。
アクア先輩の私服姿は初めて見た。
赤いチェックのワンピースに脚は白タイツとブラウンのローファー。頭にはベレー帽を被っている。 女子高生にしてはちょっとダサくて微妙だ。しかもぽっちゃり体系のアクア先輩だから、ダサさが悪い意味で際立っている。
だがソレでいい。
オシャレで可愛かったりセクシーな服装だと他の男の目を惹きつけかねない。そうなれば、元カノたちと同じ運命を辿る可能性があるからな。可愛くなる必要なんてない。アクア先輩の魅力は俺だけが分かっていればいいんだ。
「待たせちゃってすみません。早めに来たんですけど、まさか先に来てるとは思わなくて」
「だいじょーぶだよ。お家近いからね、待ちきれなくて早めに出て来ちゃった」えへへ
そう言って少し頬を赤らめニコリと笑うアクア先輩。
ああ、やっぱりアクア先輩は女神だ。
見てて心がほっこり温まるような、優しい笑顔。
「アクア先輩、今日はオシャレで可愛いですね」
嘘も方便。
ダサいと思っても、褒めてあげるのが出来る男の
「イケメンのマゴイチ君とお出かけだもんね。ちょっと頑張っちゃった。うふふ」
頑張ってソレかよ!
と思ってはイケナイ。
俺のためにオシャレしようと頑張ってくれる気持ちが嬉しいじゃないか。
にしても、ワンピースだと学校の制服の時より爆乳が目立ってるな。
ちょっと動くだけでぶよんぶよんしてる。
よし!今日は攻めるぜ!
西高生らしく自主性を重んじてアグレッシブに攻めて、アクア先輩との距離をグっと縮めるんだ。
ぶよんぶよんする爆乳に心を躍らせた俺はそう決意し、「早速行きましょうか」と言って、男らしくエスコートする為に手を差し出し手を繋ぐことを要求した。
「ひゃ!? お、おてて繋ぐの・・・?」
「ええ勿論です。 嫌ですか?」
手を繋ぐことが、さも当たり前のことのような顔して答える。
「嫌じゃないけど・・・」
そう言いながら、恐る恐る俺の手をつかんでくれたので、「もう離さないぞ!」という意思をこめてグッと握り返す。
「あぅ・・・」
普段はふわふわして優しくて年上のお姉ちゃんだが、照れてるアクア先輩も可愛いぜ。
手を繋いで歩いてる間、アクア先輩はヒト目が気になるのか、キョロキョロしながら口数がいつもより少なく、その内に下を向いてオドオドしはじめたので、「そういえば、ロコモコって名前の由来を調べたんですけど、「ロコ」ってスペイン語で「イカレタ奴」って意味で、「モコ」はハワイ語で「混ぜる」っていう意味らしいんですよ。つまり、イカレタ奴を混ぜるってことらしいです。意味不明で逆にカッコイイですよね」とどうでもよい雑談で、手を繋いでいることを意識させないようにお喋りを続けた。
そんな俺の気遣いのお蔭か、スーパーに到着するころにはアクア先輩もリラックスしてくれた様子で、いつものニコニコ笑顔を取り戻していた。
ふふふ。
俺は童貞だが、これでも恋愛経験は平均的な15歳男子に比べればある方だ。
アクア先輩の様な初心な女の子、俺から見ればチョロいもんだぜ。
スーパーの店内では買い物カゴを持つ為、残念ながら手を離していたが、それでも手を繋いでいた効果でアクア先輩も俺への距離感に遠慮が薄れていた様で、
牛肉のひき肉、玉ねぎ、パン粉、玉子、レタスにトマトを購入。
部員が8人居て8人分では無いけど8人で分けて試食するから、そこそこの量になる。
支払いを済ませると、購入した食材を俺のリュックに仕舞い、「じゃあ少しブラブラしながらお昼食べるところ探しましょうか」と、自然な流れで再び手を繋いだ。
アクア先輩も今度は特に恥ずかしがったりするようなことも無く、「うん!何食べようか? がっつりラーメンとかも良いけど、お昼から回転寿司とかもいいよねぇ」と、すっかりリラックスモードでいつもの食いしん坊の顔を覗かせていた。
お昼は安さが売りのチェーン店の回転寿司に入った。
少し早い時間だったので、待つことなくテーブル席に案内されて、対面で座る。
俺が食材が入ったリュックを降ろしている間にアクア先輩が手慣れた様子でお茶を用意してくれて、俺とアクア先輩の前に1つづつ置いてくれた。
「回転寿司によく来るんですか?なんか慣れてますよね」
「うん♪ 家族と来ることもあるし一人で来ることもあるんだよぉ」うふふ
そう答えるアクア先輩は、手慣れた手つきで注文用のタッチパネルを操作し始めた。
流石ぽっちゃりさん。一人でも回転寿司に来ちゃうほど、食べるのが好きなんだな。
「今日は沢山食べちゃってもいい? 朝、あまり食べて来なかったからペコペコなのよねぇ」
「ええ、遠慮せずにガッツリ行っちゃってください。今日は俺もいっぱい食べようかな」
「やったぁ、じゃんじゃん注文しちゃうね♪」
回転寿司には2時間近く居て、アクア先輩は60皿程食べた。
俺は30皿程でギブアップ。
お店から出て再び手を繋いで歩くが、俺の方はお腹いっぱいで、どうしても口数が減ってしまっていたが、アクア先輩の方はまだまだ余裕の様子で、むしろ逆に元気になってて、オシャレなカフェの前を通った時に、メニューのパンケーキに興味を示していた。
お腹いっぱいの俺には、お店から漂うパンケーキの甘い匂いがキツかったが、アクア先輩は吸い寄せられるようにパンケーキが気になる様子だったので、「デザート行きますか?」と尋ねると、「いいの?でもマゴイチ君、もうお腹いっぱいだよね?」と聞いてきたので、「俺はドリンクだけにしときますんで、アクア先輩は遠慮なく好きなもの頼んで良いですよ」と答えると、パァとお花が咲いた様な笑顔になって、「じゃあ入ろっか!」と手を繋いだままグイグイとカフェの中へ入っていった。
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