人形

夏洲(かしま)

第1話 人形嫌い

子供の頃、

等身大の人形を貰った。

父方の伯父に。


ケース越しに人形と目が合い怖かった。

部屋のどこにあっても視線はピタリと自分に向けられている。

逃れられない、

そんな恐怖を持ったのかもしれない。

それでも、

父や母に人形が怖いとは言えなかった。


大人になって家を離れるときも

その目が気になっていたが

その頃には

納戸の奥に仕舞われていて

随分前から目にすることはなかった。


納戸にいつ納めたのか、

覚えていない。

改めて聞くことは躊躇われたので

聞けずじまいのまま時が過ぎた。

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