1-2 「誰かの手を借りて船を作り直そう!」

「船を作り直そう!」

「で、でもどうやって?」

「幸いにもまだ沢山の木片がある! これを使えば一隻分くらいには……」


 一隻分……。

 これは他のみんなが乗れないということ。


「……」

「あなた……」


 鬼子ちゃんも俺と同じことを思ったのか神妙な面持ちで俺に声をかけてきた。


「ごめん。二人だけで逃げるなんて……鬼子ちゃんは嫌だよね」

「……ううん、私はあなたがいればそれでいいわ」

「鬼子ちゃん……」


 そうだ。

 俺は大鬼さまから命令されていたのだった。

 “鬼子ちゃんを必ず守ること”と。


 ……そのためだったら。

 そのためだったら! どんな犠牲をはらおうとかまわない!


「ふふふっ、話は聞かせてもらったオニよ」

「お、大鬼さま!?」


 そんな決意を固めていたら、大鬼さまが後ろからふいに声をかけてきた。


「ど、どうしたんですか? こんなところまで!?」

「ちょっと見回りにやってきたオニ。随分ひどいことになっているオニな……」


 大鬼様が辺り見渡していた。


「……大鬼さま? 大丈夫でしょうか? 赤鬼なのに顔が青くなってますよ」

「だ、大丈夫オニ!」


 大鬼さまがどこか驚いた様子を見せた。


「君たちの船脱出を全力で手伝わせてもらうオニ」

「そ、そんな! けど俺たちばかり……!」

「いいオニ。これは私の罪滅ぼしでもあるオニ」

「……えっ? それって?」

「全力で船を修繕するオニよ!!」


 大鬼さまが俺の質問をかき消すかのように大きな声を張り上げた。




鬼ヶ島タイタニックへ

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