ある雨の日の出会い(仮)

灼眼の錬金術師

第1話やっちまったー

俺の名前は、川上 裕二(ゆうじ)26歳、何処にでもいる、ブラックな会社に勤める、フツーのサラリーマン。


高校3年の春に、両親が交通事故で他界、この先の事を考え、金のかからない防衛大学を受験するも、結果は不合格。

何とか三流私立大学に合格した。

親の遺産はあったが、少しでも残そうと、バイトしながら、何とか卒業。

しかし、三流私立大学となると、中々就職も決まらず、心機一転、自衛隊の一般幹部候補生を受けたが、これも失敗。

お世話になった、募集官の勧めで、一般自衛官候補生として、陸上自衛隊に入隊した。


入隊当初は、さっさと部内幹部候補生試験を受けて、幹部を目指していたが、一般部隊に配属後に、新米三尉達の苦労を見て、入隊1年程で、任期満了で転職する事に決めた。

退官後、今の会社に勤めて2年が過ぎた。

上司は、『自衛隊上がりなんだから、根性で仕事取ってこい!』とか言うが、今時自衛隊だって、根性論で何とかしろとは言わない。

俺の後から入った後輩も、1年持たず次々と辞めていくし、俺もそろそろ転職するかなぁ。


その日も、上司から帰り側に『あ、この資料、明日使うから、やっといて〜』との無茶振りを受け、21時半迄残業。

会社を出ると雨が降っていた。

「マジかよ、洗車したばかりなのに。」


昔から、洗車すると雨に降られる事が多く、その日もブツクサ文句を垂れ流し、車に乗り込んだ。

「あ〜、飯作るの面倒くせぇし、途中で買って帰るか。こんな時、彼女かカミさんがいればなぁ。」

彼女いない歴=年齢の俺だか、童貞ではない。(所謂素人童貞)

最近はご無沙汰だが、自衛隊にいた時には、オキニの嬢がいた。


コンビニに寄り、弁当とツマミ、酎ハイを買って帰路につく。

家まで後少しと言うところで、歩道から何かが飛び出してきた。

慌ててブレーキを踏むが、路面が濡れている為、止まらない。

無意識に、ハンドルを右に切った為、車には当たらなかった。(後から考えると、対向車来てたらヤバかった。)


飛び出してきた物を確認する為、慌てて車を降りて見ると、女子高生が倒れて気を失っていた。

「だ!大丈夫ですか!!今、救急車を呼びますから!!」

出血はしていないようだが、彼女に意識は無く、呼びかけにも反応は無い。

すぐに救急車を呼び、併せて警察にも連絡してもらうように依頼した。

間もなく、救急車とパトカーが到着、彼女は病院へ搬送、俺は現場検証と事情聴取の為、その場に残された。


ドライブレコーダーのSDカードは、警察で確認する為、押収された(後日返却されるとの事)が、2時間程で今日の所は帰って良いとの事。

上司に連絡したが電話に出やしねぇ。

仕方なく、更に上司の部長に連絡したら、めちゃくちゃ怒鳴られ、「明日から当面会社来なくていい!追って沙汰を待て!」とか言われた。

あ〜あ、クビかなぁ。

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