一日一首(令和三年四月)
くれぐれも今日を切っ掛けに油断なく! 新聞記事にもエイプリルフール
今日でさへ嘘はつかぬと政治家ら弁舌さわやかエイプリルフール
黄砂やみ青空に映ゆる白き峰にコロナ禍もやめと掌(て)を合はせをり
君知るや三十代と二十代の死因一位が〈自殺〉なること
作歌始めやうやく八百日目なり春陽の輝き殊に眩しも
かつてなら結核に逝きし若者の尊き命を自ら断つとは
盛岡西消防署の銀屋根朝の日にかがやき五羽の鳩つどふ見ゆ
出動のサイレンに鳩はとびたつも火事に興味なし舞ひもどりたり
妻留守の日は「シーン」とふ音聞こえ〈時〉のゆるゆる進む感あり
妻留守のゆるゆる過ぎし〈時〉に乞うあと二晩は倍速モードで
東大総長コロナ感染の報を見て五十七歳とふ若さに驚く
五十七歳にして東大総長を務むる人も新型コロナは避けてはくれず
うつすらと雪の覆へる銀屋根に四月の朝陽がそそぎて眩し
エフイチの原発汚染水海洋放出も「アンダーコントロール」と日本政府は
青空に真白き奥羽山脈のび見下ろせば桜まさに咲き初む
鞍掛山登頂時に拾ひし団栗は小楢の若木となりて芽吹けり
エフイチの放射性水はタンク千基、海へ四十年かけ放出するとふ
エフイチのトリチウム含む廃水は行くか七つの海の果ての果てまで
公園をぐるぐる走るトーチをば「聖火リレー」と言ふ人らをり
中止とは口が裂けても言へぬらしオリンピックまであと百日ぞ
みそ汁を薄めてみても飲み干さば高血圧の予防とならじ
限りある海にトリチウム垂れ流し「杞憂」と笑ふ人もをるらし
ZOOMでのリモート会議に嵌まり込みパネルづくりやヘッドセットも
娘(こ)らからの誕生日祝ひの電話うけし妻のうれしげな声の響けり
緊急事態宣言も三度目となり人間がコロナ変異種に嗤はれてをるか
菅首相、バイデン参りすコロナ禍に不要不急の誹(そし)り尻目に
穀雨の候、「春眠暁を覚えず」とふ孟浩然詩の真意を知りぬ
すぐ出さぬ緊急事態宣言に首をかしぐる‘緊急’ではあるよ
帰郷すべく退職・就職にむけて連立方程式の解をまさぐる
いづれ来むZOOM面接に備へむと逸る心を文に綴れり
買出しはリュックにバッグの散歩なり往きはうきうき帰りはふうふう
俯瞰する街には雲の影まだら遠山にさまざまな雪形のこる
岩手日報の「よい出会い運」の占いにリモート面接の上首尾ならむ
穀雨の候は「五風十雨」と言ふなれど平穏無事には遠き世の中
昭和の日に惟るなり戦場で果てし余多の大御宝を
指折りて引越も十二回目と数へつつ思ひ出しをりかの日かの場所
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