第11話 銀髪の少女
「だ、大丈夫です」
目の前の銀髪の少女は、俺の手につかまると体を起き上がらせる。その瞬間に俺と銀髪の少女の目が合う。
美しく思わず目を奪われるような瞳に視線が吸い込まれそうになる。身長は150くらいだろうか? とても、小さいのは確かだ。そして、南宋高校の制服を着ている。同じ学校の生徒だろうか?
すると相手も俺の目を見つめて固まってしまう。どうしたんだ? お互いにお互いのことを見つめあったまま固まっていると、突如俺は後ろから引っ張られる。
「な、何を見つめあってるの!? ふしだらだよ!!」
後ろを見てみると顔を真っ赤かに染め煙でも出ているじゃないかと思うほど異常な蒸気をはらんだ泡瀬がいた。
泡瀬はそんなことを言いながら俺を後ろへと俺の制服の袖を左手で掴み、ズルズル引っ張っていってしまう。
「あのー、泡瀬さん? このままだと、俺たち学校から離れていってしまうんですが?」
「うるさい! ふしだらったら、ふしだら!
回り道をしていくよ!」
「なんで!? なんで、回り道してくの!?
俺、早く勉強したいんですが!?」
「まあまあ、いいじゃないですか。私も付き合いますので」
「ほら、彼女もこういってるし…ってなんであなた付いてきてるのよ!?」
「えっ、回り道してゆっくり話していこうってことでしたよね?」
何故か横には、先程の銀髪の少女がついてきていた。しかし、改めてみると本当に長く美しい銀髪だなぁ。そして、相変わらず吸い寄せられるような目。
「あっ私、深谷 糸といいます。先程は申し訳ありませんでした。ありがとうございました。よろしくです」
引きづらている俺に横並びで歩きながらペコリと頭を下げてくる深谷さん。いい子だなぁ。泡瀬だったら、俺に噛み付いてきそうなもんだが。
「ほらあなた、なに話しかけてきてるの!?
あっちいってって。これじゃあ回り道する意味がないじゃん」
「な、なんで私をそんなに毛嫌いするんですか?」
確かに不思議だ。普段は人当たりがいいはずの泡瀬が寝ぼけているとはいえ、ここまで毛嫌いするとは…俺以来の快挙なんじゃね?
相手からすれば全く嬉しくないとは思うけど。
「そ、そう言われてみればそうだね。なんで私あなたを遠ざけようと?」
「私に聞かれても分かんないですよ。あっ、あのあなたの名前ってなんて言うんですか?」
深谷さんは俺に目を向けながら名前を尋ねてくる。
「あぁ、俺? 俺は、鳥田 桔平って言うんだ。南宋高校の1年です。よろしくお願います」
「はい、よろしくです」
そう言って手を差し出してくる深谷さん。
これは握手をするってことでいいのだろうか? 俺も、引きづられたままの状態で手を差し出す。
もう少しでお互いの手が触れる…その直前で俺の手は別のところから伸びてきた手に掴まれる。目の前には、俺と深谷の握手を邪魔するような体勢の泡瀬がいた。
あっ、いつの間にか左手が離されてる。でも、代わりに俺の手に泡瀬の右手が掴まれていた。
なんだろう、この柔らかい感触。男子同士で握手するのとは訳が違う。小さくて柔らかくて力を入れればすぐに折れてしまいそうなか弱い手はなんなんだ?
「あの〜、泡瀬…さん? これは?」
「えっ!? なんで、鳥田の手を握ってるの!? こ、これは違______」
そう言うやいなや素早く俺の右手から手を離す泡瀬さん。そして頭を抱えて地面に座り込んでしまった。一瞬見えた顔は、耳まで真っ赤であったが見間違いだろうか?
まぁ、泡瀬さんは寝ぼけてるっぽいし…寝ぼけて咄嗟に掴んでしまったのだろうか?
泡瀬さんがどくと、ややふくれっ面の深谷さんが立っていた。
「なんでそんなに先輩の邪魔をするんですか!? 泡瀬さん!?」
「「えっ、先輩!?」」
「失礼極まりないないですよ!? ほらほら、先輩ぽいですよね?」
「「いや、全然」」
「ガーン」
深谷さんが怒っているということすら忘れてしまうほどの衝撃の事実に俺と泡瀬さんは声を揃えて反応する。
この人先輩だったのか…下手したら中学生にさえ見えかねない身長のせいで完全に同学年だと思ってた。
「南宋高校2年です。泡瀬さんは色々有名ですので知っているんです」
なるほど、2年生の先輩と。これからは深谷先輩と呼ぶことにしよう。
そして、深谷先輩は俺たちに目を向けると疑問を投げかけてきた。
「あの〜、鳥田君と泡瀬さんはお付き合いをされてたりするんでしょうか?」
それは俺たちにとって大きな大きな地雷であることも知らずに。
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深谷先輩から爆弾投下!! 明日の投稿は爆発のため中止になりましたとさ。
…冗談ですけどね。先輩なのに後輩っぽい銀髪の元気少女の深谷先輩。
この人は、なんこ特性を持っているんだ?
下手したら主人公やヒロインより個性が強いんじゃ?
題名変えときます?「元気系後輩タイプの銀髪美少女の深谷先輩は積極的です」に名前変えときます?
まぁ、そんなわけで個性が強そうな先輩が現れましたが、もっと強い個性が隠されています。
盛りすぎたかも、泡瀬さんのライバルになるかは…この章の最後まで読んで頂ければ分かると思います。
もし、良ければ星と応援をお願いします!!
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