第6話 荒れ狂うクラスメイト達


 俺は、クラスメイト(主に男子)からの異様な殺意を受け全力で教室を出ていく。あの場に、いたのでは弁当を食うどころではなく殺されてしまうだろう。


 そんな俺の背中で、大きな声が響いた。


「目標、鳥田 桔平!! すぐさま捕獲し、吊るし上げろ!!」

『ラジャ!!!』


 なんてことだ。何でこんなに男子達の統制が取れてんだよ!! おかしいだろ!?

 

今までに見たことないくらい、みんな真剣な表情だったなんだけど!? ウチのクラスは「リア充撲滅隊」か何かなんですか!?


 でも、俺たまたまお礼に手作り弁当貰っただけですよ? って、もう2、3人追ってきてる。


 他は、見当たらないが…まさか、回り込んでいるんじゃ!? なんでこんな無駄なことに、冷静な思考回路を使ってんだよ!!


「澄ました顔してやがったくせによぉ、あんなに可愛い幼馴染を口説いてやがったとはなぁ。俺なんか、俺なんかなぁ。*×<☆%…々5×6♪8*%*=*3」


 後ろから恐ろしい怨念の声が聞こえる。

 っていうか、あんなの人が出せる声なのだろうか? 少し振り返ると利得 涼介だった。


 あれ? あいつ前、「僕なんか虫も殺せないくらい弱虫で、ってうわ!!? アリ!? 無理無理。登って来ないでええ」とか言ってた草食系で虫すら殺せない奴じゃなかったけ?


 なんでこの一瞬の間に怨念と化し、口調すら豹変し、殺伐とした目をしてるわけ!?


 キャラ崩壊どころじゃなくないか!?

 人格崩壊してない?


 俺がそんなことを思いながら走っていると目の前に誰かが立ち塞がった。


「ここは通さんぞ。裏切り者の鳥田 桔平」

「いや、お前ヨウじゃねぇか!! なんで、お前までそっち側についてんだよ!」

「そこにリア充がいたら撲滅するまで…例え親友だろうと関係なく神の裁きは下される」

「いや、そこは気にしよう? 親友を下すのはさすがに躊躇しよう」

「問答無用、桔平よ神の裁きを受けるがいい」


 ダッと駆け出してくるヨウ。しかし、たまたま地面に落ちていた紙を踏んで体勢を崩していく、ヨウの頭がゆっくり地面に近づいていく、なんかスローモーションみたいだ…そして、


 バッタァン 頭から地面に激突していった。


「なるほど、これが紙の裁きか」


 と俺は感心して呟くが後ろから足音が迫ってくる。そういや、俺クラスメイトの男全員に狙われてるんだったわ!! ヨウの見事すぎる伏線回収を笑ってる場合じゃない。


「くっそ」


 俺はすぐさま駆け出すとその場を離れる。

 

ってか今更だけど、こんなことやってるのに先生に注意もされないし、通行する生徒達も誰も驚いてないけど…これ、どうなってんだよ!


 俺は階段を数段飛ばしで駆け下りいき、とりあえず校舎を出ようとするが玄関の前には誰かが立っていた。


「う、裏切り者の鳥田 桔平かあー。い、今すぐ粛正してやるぞー」


 めちゃくちゃセリフ棒読みの常識 迅くんが立っていた。ってか、全然怒ってる風に見えないし、恐らく…。


「お前、クラスメイトの男子が全員行ったからノリに合わせただけだろ?」

「そ、そんなことないよー」

「めっちゃ棒読みじゃねぇか!!」

「そ、ソンナコトナイヨー」

「カタコトになり始めてんぞ!!」


 ふぅ、あんまりやる気なさそうだし。俺が走って通り過ぎれば特に害はなさそうだ。


 俺はそう判断すると、すぐさま迅くんに向かって駆け出す。が、


「っっ!!」


 とてもない、殺意を感じ足を止める。なんだ? 迅くんの後ろから感じる。


 まさか…?


「伏兵か! 玄関のドアの前で待ち伏せてんだろ!!」


 途端に迅くんの態度が豹変した。


「あらら、バレちゃったんだあ。いい作戦だと思ったのになぁ」

「お前、常識人キャラだろ!!! なんで、普通にそっちに染まってんだよ」

「リア充撲滅、撲滅、撲滅ぅゔゔゔ」


 迅くんまで、怨念化してやがった。なんで、普通の子ももれなく怨念化してるわけ?

 どんな学校だよ。軽くホラーだよ。俺、世にも奇妙な世界に紛れ込んだとかじゃないよね?


 少し心配になった俺だが、そんなことを考えている暇もないのですぐさま玄関からダッシュで離れて階段を登り登り、3階までやってくる。しかし、相変わらず後ろから足音がする逃げ切れねぇ。


 体力も限界だ。俺が諦めかけたその時、真横の理科室のドアが開き突如として出てきた手に俺は引っ張られ教室内に入れられてしまった。


 俺の手を引いた人物は素早くドアを閉める。そもそも、理科室って実験時いがい開いてないはずなんだけど…俺、今から実験でもされるのでしょうか?


 俺が悲鳴を上げよとするとその人物に口を塞がれる。


「モゴモゴ」

「声を出さないで。気づかれちゃうから」

「ってモゴモゴ泡瀬!?」


 なんと、俺の口を塞いでいる人物は泡瀬だった。最早、どういう状況なんだよ! 俺がそう思った矢先、近くで奴らの声が聞こえた。


「くっそ、どこいきやがった?」

「さっきまで背中が見えてたのに消えやがった」



 クラスメイトだ。まずい。泡瀬は俺に「静かに」のゼスチャーを送ると俺を理科室の奥の方に連れて行き俺を座らせる。隣に泡瀬も座ってきてまた、俺の口を塞ぐ。どれだけ俺の信用ないんですかね?


 それはそうと近すぎません? 足完全にくっついちゃってるんですが? さっきまでとは、違うドキドキに正常性が保てない。


 いや、俺よ。相手は泡瀬だぞ? 泡瀬はライバル。泡瀬はライバル。でも、普通にしてると可愛いんだよなぁってアホ! 泡瀬はライバル。 泡瀬はライバル。


 そんな状態から30秒ほど経っただろうか?

 クラスメイトの奴らの声は聞こえなくなったので、口を塞いでいた泡瀬の手をそっとどけてとりあえず感謝の意を示すことにした。


「あー、えっと泡瀬? 何で、助けてくれたかは知らないがとりあえずありがとう」


 自分でも、もっと素直にお礼すべきだとは思うが今は心臓のドキドキが止まらず冷静な思考など出来やしないから許してほしい。

 ん?


「って泡瀬? おーい、おーいどうした?泡瀬? …気絶してる?」


 泡瀬をよく見ると…ぐるぐるといつもは幻想的な水色の目を回している。何故か、顔も赤く少し汗をかいている。


「おーい、泡瀬? 大丈夫か?」

「キュウウゥゥ」


 ダメだ。キュウウゥゥとか言う変な声しか出てこない。 ってか、もしこんなとこ誰かに見られたら俺と泡瀬まずいんじゃない!?


 はたから見たら、俺が泡瀬を気絶させて襲おうとしてるように見えるんじゃ…まぁ、でも理科室だし誰もいないし、泡瀬が起きればなんの問題もないから少し待てばいい_。


 ガラガラガラ 理科室の扉が突如として開いた。


「おーい、泡瀬いるかー?」


 大丈夫だろう。そう思った時期が俺にも一瞬ありました。


 俺の横には顔を赤くし目を回している泡瀬。そんな俺たちに近づいてくる何者か。


 あれ? これ、詰んでね?




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 次回 主人公どうなる?

 今回は、少し長くなってしまいましたがお楽しみいただけたでしょうか?


 もし見つかったら、退学の予感。(ブルルル


 もし、良かったら応援ボタンと星をお願いします。(追伸、大まかな流れや出てくる登場人物などは決めることが出来たので毎日1話は投稿できるかと思います。応援よろしくお願います。結構長くなりそうです。






















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