第5話 お礼のお弁当
ジリリリッ ジリリリッ ジリリリッ ジリリリッ 四方八方から目覚まし時計がなり俺はいつも通りに目を覚ました。
「ふわぁ、もう朝か」
1つ1つ目覚まし時計を止め時間を見ると5時半を示していた。今から、今日の授業の予習を復習するのだ。(予習は昨日すませ済み)
7時に朝ごはんを食べると8時に家を出る。
家を出るといつもの様に澪が立っていた。
澪は俺を見ると元気に近寄ってきてとびっきりの笑顔で挨拶を決める。
いつも思うけど、何で朝早くなのにそんなにテンションが高いんだろう?
「おっはー、てっちゃん。むっふっふ、今日は弁当作ってきたから期待して待っててね」
「おはよう、澪。あぁ、期待して待っておくよ」
弁当なんて作るの大変だっただろうに…今日はいつも以上にテンションが高い。
「んで、弁当はどこなんだ?」
「ふっふっふ、お待ちくだされ悪代官様」
「いや、俺悪代官じゃねぇし」
「いえいえ、悪代官様には
「俺との会話無視して、悪代官押し付けるのやめてもらっていいか?」
「なっ、新撰組だとぉぉ!? 者共、早く私と悪代官様を逃がすための時間を稼げぇ」
「俺との会話無視して、ピンチに陥るのやめてもらっていいか? あと、俺の名前自体が悪代官設定なのね」
「な!? 者共どこに行く!? 私を置いていくなぁぁ。…うっう、部下に見捨てられてしまった。私もこれまでか」
「俺との会話無視して、泣き崩れるのやめてもらっていいか?」
「な!? あなたが神…様? 私を私を救ってくださると言うのですか?」
「俺との会話無視して、そこの世界線ぶち壊すのやめてもらっていいか?」
「うん、もうこの設定飽きた」
「俺との会話無視してやって置いてその開き直りはどうかと思う」
相変わらず好き勝手言ってやがる。まぁ、それが澪の面白いとこでもあるがな。んで、何の話だったけ?
「お弁当に関しては昼放課になったら、渡しに行ってあげるから安心してね?」
そうだった。お弁当の話してたんだ。澪との会話は楽しくなりすぎるから、本題を忘れがちなんだよなぁ。って、
「いやいやいや、ここで渡してくれない?」
「何で?」
「いや、教室で渡したりなんかしたら明らかに目立つでしょ。勘違いされるかもしれないし」
本人は気づいていないかもだが、澪は普通に可愛いのだ。軽く染めたショート茶髪に(理由はちょっとだけおしゃれがしたかった)なのに、制服のスカートは長くして(理由は恥ずかしいから)目には何もしてないのに、透き通るようなガラスのような綺麗な目は周囲をとても惹きつける。
しかし、ぺった__いや、何でもない。でも、それは1部の男子にはクリティカルヒットらしく…「あれはむしろステータスなのですよ。特に気にして頑張っているのが微笑ましいのです」という意見があるくらいだ。(完全に変態である)
そんな澪がお弁当を誰かに渡すとなるとかなりの話題になってしまうし…何より、俺の肩身が狭くなる。今まで、秀才で堅物を演じてきた俺のイメージが崩れ去ってしまうのだ。
俺は、ある事件があってから彼女を作るつもりはないからこれで誰も近寄らなくなれば、それはそれで好都合なのだが…それよりも、1部男子による嫉妬で暗殺されるかもなので勘弁願いたい。(ウチの学校では、何故か美少女と付き合った男子は翌日血祭りにあげられており…犯人は不明)そんなわけで、勘違いして血祭りにあげられても怖いので、本当に勘弁願いたいのだ。
「ふふ、噂にされちゃう…ね?」
「何だよ?」
「…まぁ、それが狙いだけどね」
最後に澪が小さく呟いた。なんて言ったんだろう?
そんな会話をしているといつの間にか学校が見えてきた。どうやら、本当に昼放課に渡してくれるつもりらしい。俺、まだやり残したことが沢山あるんですが?
まだ、泡瀬に完全勝利できてないんですが?
*
「はい! これ、てっちゃんのお弁当。頑張って作ったから美味しく食べてね?」
「お、おう」
昼放課、予告通り俺の席にやって来た澪は、にっこり笑ってうさちゃん柄の袋に入れられたお弁当を手渡してくる。
これ自体は澪が朝言っていたことだから、そんなに驚かないのだが…問題は。
「おーい、鳥田くぅ〜ん。そのお弁当を食べ終わったら俺と富士山登りに行こうぜぇ?
全部、中身吐き出すまで登り続けようゼェ?
なぁ、行くよなぁ?」
「おいおい、怖いこと言うなよ。鳥田くんが引いちゃってるだろ? 鳥田くん、こんなサイコパスは置いておいて、君を解剖したいんだが理科室に来てくれるかーい?」
「馬鹿言え、鳥田はこれから俺の剣道の特訓に付き合ってもらう予定なんだよ。あっ、ちなみにサンドバッグ担当ね?」
問題は、俺がそのせいでクラスメイトの男子にモテモテってことかな?(涙目)
うん、みんなにめちゃくちゃ誘われるんだけど? 俺、人気者だね? どれも殺意しか感じないのはさて置き。
「あれって、そう言うことだよね?」
「前々から、狙ってるぽかったしそうなんじゃない?」
「私、2人は幼馴染って聞いたよ?」
「幼馴染がついに恋人に…書ける。これは、甘い純愛物が書けますわあぁぁ」
女子達は、何を言っているのか遠くて分からないですが…俺と澪見て、ヒソヒソ話すのやめてもらっていいか?
こうして、俺の前途多難な昼放課が幕を開けるのだった。わーい、非日常だぁ。(棒)
本当に助けてください。
*
「むぅ」
「どうしたの? 泡瀬?」
「…いや、何でもない」
一方その頃、廊下からたまたま1部始終を見ていた泡瀬は何故か頰を膨らませるのだった。理由は、本人にさえ分からないことだが。
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次回、クラスメイトが暴走!? 未曾有の大災害(笑)が幕を開ける?
そんな鳥田を助ける者とは?
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