第3話 気まずい帰り道?
しばらく、無言で2人歩いていると某薬屋が見えてきたので俺は向かっていく。某薬屋の駐車場まで来た俺は某薬屋を指差す。
「ここに寄りたいんだ」
「ここって?」
「あぁ、薬から日用品まで売ってるスーパー的な薬屋だな」
「それに鳥田が寄るの? 意味が分からない」
「あー、ちょっとここで待っててくれるか?」
「何で?」
うーん、どう説明したもんか。俺が買うものと理由言ったら絶対反対されるだろうしなぁ。
「いや、俺とずっといると泡瀬的にも嫌だろ? 気分転換だよ。まぁ、もしなにかあったら声を上げてくれ。すぐに助けに行ってやるからその辺は心配すんな」
「…別に嫌じゃないけど」
「うん? なんか言った?」
「いや全然」
「そうか」
何か聞いた気がするけど、まぁ多分俺も疲れてんだろうな。幻聴か何かだろう。
「じゃ、待っててくれ。すぐに戻るから」
「うん」
俺はそう言うと、すぐさま店の中へと入っていく。本当に従順だ。いつもの元気はどこへやら。
いつもこれくらいだと争わずに済むのに、明日会うときっと元通りなんだろうな。
俺は1分くらいで目当ての物を取るとレジに向かう。レジも空いていて思ったより早く終わった。まぁ、夜中だしこんなもんか?
駐車場の辺りで待ってくれている泡瀬の元にダッシュで向かう。
「悪い、大丈夫だったか?」
「この数分で何かあるって私どれだけ弱いんだよ!」
「いや、今の泡瀬は弱ってるから心配なだけなんだが? 通常時の泡瀬なら何の問題もないんだが?」
「っっ!!// もう、通常時だから」
「そうか? それにしちゃいつもより反発してこないというか…張り合いがないというか」
「助けてもらった人に煽りにいったりするほど私人間やめてないから」
「なるほど?」
「でも、鳥田は別枠」とか普段なら言いそうなもんだがな。耳がやや赤いのと何か関係があるのだろうか?
「んで、鳥田は何を買いに行ったの?」
「ん? あぁ、えっと、まぁ薬とこれ」
いつまでも隠してても仕方ないし、俺は左手に持っていた物を泡瀬に渡す。俺がもう一つ買ったもの。それは。
「これは…カイロ? 何故?」
泡瀬が不思議そうに首をかしげている。あぁもう、今日の泡瀬は本当に察しが悪いな!
「ほら泡瀬、髪が濡れてて寒いって言ってたじゃん。少しでも温かくした方がと思って」
「え?」
泡瀬は一瞬体を固まらせた後、体を震わせはじめた。えっ? 何、俺また変なこと言った?
「ぶっアッハッハ」
泡瀬が耐えられなくなったのか身をよじって笑いだした。
「あの泡瀬が笑ってる!?」
俺は今日で一番驚くが泡瀬はまだ苦しそうに笑い続けている。その笑顔は眩しかった。
笑顔だけはまあまあだな。フン。
「そりゃ笑うでしょ。ヒイヒイ。思い出すとヤバい。こういうのって普通タオルとかじゃないの? なんでカイロ? ボケを狙ったの?」
「カイロって温かいからさ、もしかして間違ってた?」
「確かに温かいけどさぁ、そういうことじゃないよね? 天然だとしたら面白すぎるんだけど」
まだ、笑いが収まらないようで体を震わせている。本当にこんなに笑う泡瀬は金輪際二度と見れないかもな…別に見たいわけじゃなけど。
「はぁはぁ面白かった。でも、私のためにわざわざあんがとね?」
そう言うと泡瀬は俺を見てフフっと微笑みかけた。
「っっ!!//」
完全な不意打ちだったため俺は対応しきれず顔を真っ赤に染めてしまう。やべぇ。不本意にも今、可愛いと思ってしまった。
泡瀬はライバル。俺の宿敵だ。しっかりしろ俺。俺が必死に自分を宥めていると、泡瀬が近づいてきてフフっと再び笑う。
「顔真っ赤かじゃん。もしかして鳥田、女の子に慣れてないの?」
「そんなわけないだろ?」
慌てて否定する。また、顔が真っ赤になるところだったが自分で自分の感情を抑えつける。全く、俺が慣れてないのは泡瀬の笑顔なんだけどなぁ。っていかんいかん。
泡瀬はライバル。泡瀬は宿敵。
「じゃあ帰りますか?」
「なんでいつの間に泡瀬がペース握ってんだよ」
「カイロの件で鳥田は主導権を私に取られたんだよ」
「くっ、悔しいが否定できねぇ。この次回学年2位やろうが」
「私は次も一番ですぅ」
「あん? 何だと?」
「やんのか?」
「じゃんけんで勝負だ」
「いや、そこは頭脳対決じゃないのね。まぁいいけど」
お互いにいつもの調子が戻ってきたので歩きながら喧嘩をする。
「「じゃんけーん」」
「「ぽい」」
「俺の勝ち。you are a loser。あなたは敗北者です」
「きいぃ。 同じこと2回言いやがって、バカにしてるでしょ!?」
「うん、あなた負け、俺勝ちオッケー?」
「もう、一回。もう一回よ」
「いいよ?」
「「じゃんけーん」」
「「ぽん」」
「またまた、俺の勝ち」
「も、もう一回」
「「じゃんけーん、ぽい」」
「俺ウィナー」
「も、もう一回だけ。お願いだから」
その後も俺はじゃんけんで勝ち続け102回目の所で泡瀬の家に着いたが、「一回だけせめて勝ってから」とじゃんけんをやめようとしない泡瀬を「両親が心配さてるだろうから、早く帰れ」と説得するのは大変だった。
分かっちゃいたけど、泡瀬は負け嫌いだよな。じゃんけん弱すぎだけど。俺はそんな思いを抱きながら自分の家に帰るのだった。
ところで泡瀬の家を教えてもらい泡瀬を家に送り届けたまでは良かったのだが、ここはどこですか?
俺はこの後、交番に行き道案内をされることになったけど…恥ずかしすぎるので詳しい内容は記載しないことにしよう。
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皆さまは主人公みたいに迷わないよう、その人の家を知らないのに送り届ける場合は戻ってこれるようにパンでもちぎって目印にしましょう。
そこまで気まずくなくて良かったですね。
もし良かったら評価お願いします!
次回は幼馴染の平井にストラップを届けに行くと…という話です。是非、読んでくださると嬉しいです。
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