【第1部終了】夜中の学校で出会ったのは、俺と犬猿の仲の学年一の美少女の泡瀬さんでした。

タカ 536号機

第1部 犬猿の仲の泡瀬さんとの日常編

第1章

第1話 夜中の学校で


「げっ、泡瀬?」

「…鳥田」


 俺は、夜中の学校で犬猿の仲の泡瀬に出会ってしまった。


 *


 学校を歩いていると前からハンカチが飛んできた。目の前の生徒が足を止める。

 恐らく落としてしまったのだろう。俺はハンカチを拾うと振り返った人物に手渡した。


「はい、落としたよ____ってげっ! 泡瀬か」

「ありがとう____って鳥田か」


 それは泡瀬 葵ことその人だった。

 泡瀬 葵それは俺が苦手とする人物。理由は簡単。ライバルだからだ。


 俺こと鳥田 桔平はテストの為、並々ならぬ努力を注いでいる。しかし、1年の1学期の中間テスト一位の座をあっさり奪っていったのが泡瀬だった。期末テストは俺が1番をとり泡瀬を負かせてやったのだが…泡瀬はそれが気に入らなかったらしく以降俺を毛嫌いしている。


 俺も俺でその後、2学期の中間では王座を奪還され悔しい思いをしていた時に泡瀬が自慢げな顔で俺を見てくるのでムカッとさせられたものだ。


 そんなわけで1年は交互に1位を取り合い、お互いにライバル意識を燃やしているのが俺と泡瀬なのだ。そんなことで?と思うかもしれないが俺にとって勉強で1位を取るということは何物にも変えがたいものだ。

 

それは、泡瀬も同じようで俺が勉強に力を入れれば入れるほど同じように入れてくる。


 そんなわけでお互いそんなに話してないのに犬猿の仲というのが俺と泡瀬だ。ちなみにこの話はこの学校内だと有名だったりする。


 その為、俺と泡瀬が喧嘩を始めるのではないかと周りの生徒が距離を取っているのが伝わってくる。その判断は正解だな。まずは俺から仕掛ける。


「学年1位様、うっかりハンカチ落として大丈夫なんですか? テストも落とさなきゃいいけど」

「心配どうもありがとう。でも、安心して鳥田程度じゃ取れないから」

「それは余計な心配だったな。次回学年2位の泡瀬さん」

「そちらこそ高順位が期待出来そうだね。次回学年3位の鳥田さん」


 お互い「さん」付けまでして煽りまくる。


 周囲の生徒の不安が加速していってるのが伝わってくる。さすがに潮時かな?


「じゃあな。ハンカチ落とさないように気をつけな」

「そちらこそ、テストを落とさないように気をつけてね」


 と俺がその場を立ち去るとダッと駆け寄って来るのが2人。


「良かったぁ。また、喧嘩になるんじゃないかと思ったよぅ」

「マジ安心したぜ。第8次南宋高校大戦が巻き起こるかと期待_____不安だったぜ」

「7次まであったことに驚きだ。あと、お前本音が隠せてないから」


 幼馴染の平井 澪と幼馴染の三田 ヨウである。平井は心配してくれたようだが、三田は喧嘩が起こって欲しかったみたいだ。


「三田…なんて悪い奴」

「あんな可愛い子と喧嘩するお前が悪い子だろ? 今日も可愛いなぁ」

「澪」

「うん、気持ち悪いから廃棄処分しておくね」


 ゴミ捨て場まで連れて行こうと準備を始める澪。本当にいい幼馴染をもったなぁ。


「サンキュー」

「待って待って、いやらしい意味は決してないんだ! ただ、いやらしい目で見てるだけなんだ」

「「どっちだよ!!」」


 とりあえず危険人物だったのでそこら辺に縛りつけて置くことにした。…将来、犯罪でも起こさなきゃいいが。


 *


「にしても何であんなに喧嘩するかなぁ」

「それについては仕方ないとしか言いようがないな」


 学校が終わると同じ吹奏楽部の俺と澪は部活を終えいっしょに帰宅していた。ちなみにどうでもいい情報だがヨウはサッカー部である。


 澪はいつも俺が泡瀬と喧嘩しないか心配してくれているそうで、本当にいい幼馴染を持ったもんだと思う。


 しばらくしてお互いの家が見えてきたところでさっきまで喋りっぱなしだった澪が急に黙り足をピタッと止めた。


「どうした?」


 急に立ち止まった俺は澪を心配する。すると澪は焦ったように声を上げた。


「ないの」

「何が?」

「仮面ヤサバーのストラップが」

「え?」


 たかがストラップだろ? とでも思うかもしれないが仮面ヤサバーは俺達が子供の頃やっていたもので澪のストラップは澪のお父さんが澪に買ってくれた物だ。翌日、突然澪のお父さんは撥ねられ死亡してしまって澪への最後の贈り物となってしまったのだ。


「どうしよう。もう、学校も閉まってるし。お母さんも心配する」

「澪」

「てっちゃん、そんな心配そうな顔しないでよ。大丈夫だって。明日学校とか行けばあるだろうし」

「でも」

「いいのいいの、あれくらいなんてことないよ。じゃあね」


 澪は何の問題もないかのように自分の家に入っていった。


「嘘言ってんじゃねえよ」


 明らかな嘘だった。澪は震えていたし、汗も尋常じゃなかった。大丈夫なわけないのだ。

 でも、澪はお母さんと二人暮らしだ。お母さんに心配をかけるのが悪いと思ったのだろう。なら、どうすべきか?


「まあ、大丈夫とは言ったけど。俺が学校に探しにいっちゃダメとは言われてないしな」


 俺は夜中の学校に侵入することを決意した。


 *


「あったあった。思ったより簡単だったな」


 学校に侵入して徘徊している先生に見つからないように探していると30分ほどで見つけることができた。落とし場所は、今日俺と泡瀬が争っていたところの辺りであった。


 もしかしたら、見に来てくれた際に落としたのかもしれないな。そう思うと澪に悪いことをしたと思った。


「あとは帰るだけか」


 そう呟くと俺はその場を去ろうとする。その油断が命取りだった。


 ドンッ 後ろを向き走って帰ろうとした矢先振り返った瞬間誰かとぶつかってしまったのだ。俺と相手は尻もちをつく。


「わっ、ごめんなさい。先生、これには事情が______ってげっ。泡瀬?」


 そこには何故か泡瀬がいた。俺は起き上がると俺と同じように尻もちをついた泡瀬を助け起こす。まあ、今回は俺のせいでぶつかったからな。ってか、そもそも何で泡瀬はこんなところにいるんだ?


「…鳥田」

「ってあれ?」


 いつもなら、ここで俺を非難してくるはずの泡瀬の反応がない。よく見ると、泡瀬の目元は赤く腫れていた。


「どうした、お前!? もしかして泣いてるのか?」


 俺は普段の行動からは想像できない泡瀬の涙に驚き一歩引く。


「待って!! っつつ!! いや、何でもない」


 急に俺の制服の袖を掴んだ泡瀬だったが、ハッとした顔ですぐに離してしまう。いつもならお互い煽りまくるところだが。さすがに心配になってきた。泡瀬の涙なんて今後見るかもわからんし、話くらい聞くか。


「泡瀬」

「な、何?」


 やはり声が上ずっている。大方、さっきまで泣いていたのだろう。


「何があった? 話くらいなら聞いてやるぞ?」




 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 次回 泣いていた泡瀬ちゃんが事情を話す。

 主人公はどうするのか?


 この話はストックがありません。大まかな流れとラストは決まっていますが続けるかは反応次第です。よろしければ評価をお願いします。続けるかは作者のモチベ次第です。






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