何の設定も考えずに小説を書くとどうなるだろう。それは小説と云えるのだろうか。まぁ思いついたことをそのまま書く。掲載サイトに載せるなら長いタイトルが流行りらしいから、ほら、こんなんでどうでしょう。
林堂 悠
第1話 2022年8月30日
『恥の多い生涯を送って来ました。』
かの有名な、太宰治著『人間失格』第一の手記、書き出しの言葉です。
何故、今、これを紹介したか。
理由は後述しますが、ただ思いついたから書いた、というのが正直なところでもあります。
タイトルにある通り、この小説を書いている私は、何も考えていないのです。
いわゆる恋愛小説……男女の恋。ありません。
いわゆるミステリー小説……殺人事件。ありません。
いわゆる異世界転生……あるわけがありません。
ただ文字を書いています。ただ指を動かしています。
そんな
今すぐ小説を書きなさい、今すぐにだ。
そう言われた時、人は(別に、私はそんなユニークな拷問を受けている立場にいないのですが)、自らの人生を振り返るようです。
やってみて分かりました。
しかし、それはもはや日記じゃないか、そう文句を言われても、仕方がないかもしれませんが、ある意味、小説とは(それが先にいった恋愛小説だとか、ミステリー小説だとか、種類を問わず)、登場人物の日記であると捉えても違和感はないわけですから、つまり、的は射てない。
この文字たちの全てが小説の一部だ、と胸を張って言っても差し支えなさそうで、勝手ながら安心しました。
自らの人生を振り返った時、最初に浮かんだ言葉があのセリフでした。
『恥の多い生涯を送って来ました。』
恐らく、「なんだ、この作者は病んでいるのか」とか、「太宰治の真似事か、自己投影か」とか、皮肉寄りの感想を抱かれると思い、それは嫌だなと思い、まさに今、キーボードを叩く指が止まったところなのですが、言い訳が面倒なので、一旦、無視します。ごめんなさい。
『恥の多い生涯を送って来ました。』
本当に、そうです。
過去形であることも相まって、非常に、いいです。
人生を終わらせたいと考えている私にとって、過去形であることが、ひどく、心にはまるのです。
そして、そう考えるに至ったほど、私は恥だらけの人生を送ってきたわけです。
(この小説のしばらくの展開が決まりました。第2話から現代版『人間失格』、こんなものを、書いてみようと思います。)
『恥の多い生涯を送って来ました。』
逆に、共感出来ない読者は、どれほどいるのでしょうか。
誰もが恥と共に生きてきたのではないでしょうか。
「いいや、分からん」なんて言う人がいるのなら、私はただただ、ただただ、羨ましいです。
……あぁ、いや、どうだろう。
きっと、共感出来ない側の読者は「自分は自分」「自分の選択に後悔はない」「恥を経て会得したものがあるから、それはもはや、今となっては恥ではない」的なことを言い(分かりませんが)、私は、その様な途方もないポジティブさをたしかに羨ましく思うのですが、同時に、その様なポジティブさを鼻で笑う自分も想像出来て、つまり、羨ましくはないのか?
自分が分かりません。
ひねくれていることだけは分かります。
そうです。
ただただ、ひねくれているんです。
ひねくれているからこそ、人間が嫌いなのだと思います。
ひとつ、私の「人間嫌いエピソード」を話してから、現代版『人間失格』を始めようと思います。
何を隠そう、『人間失格』という書の、その存在のせいといえます。
ここまでその書をオマージュしておいては、まさか、と思われたでしょうか。
私は、今年で二十七歳になります。
人生を終わらせたいと考えている二十七歳です。
事の経緯は第2話以降に綴る予定ですが、おおよそ『人間失格』で語られた主人公の気持ちと一緒です。
だから『人間失格』が、気に食わないのです。
いや、正確には、私がこれから語ることになる人間への罵詈雑言の全てが、「太宰治のパクリだろ」という一言で片づけられてしまう、そんな、今は
安直な感想(あるいはイメージとも云えるでしょうか)は、仕方のないことです。
いくら時間をかけて、私が経験した苦楽の徹頭徹尾を綴っても、それが如何に人々の共感を得られる哲学的な問いだったとしても、「パクリだろ」の一言で、それは揺るぎのない真実となります。
ガラの悪い大男を見れば、そいつは間違いなく悪者なのです。
刺青の入った細マッチョを見れば、そいつは間違いなく前科者なのです。
醜悪な女を見れば、そいつは間違いなく卑屈な奴なのです。
ねぇ? こうやって決めつけること、ないですか?
人間にとって、他者の努力や真実なんて、知ったことじゃないのです。
それでいて、ポジティブに生きる……。
常日頃から最低な思想を、無意識にとり、ポジティブ!
あぁ、しょせん、いくら男女平等がどうこう、人種差別がどうこう言ったって、人間の世界は弱肉強食。ただの動物の世界……。
脱線しかけました。
要します。
やっぱり、人間が嫌いなのです。
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