第65話 最強姉妹
黒く輝くダンジョン。
魔王がいるのにピッタリな外観だ。
「さあ、行くぞ。準備は良いか?」
「はい!」
ダンジョンに入る僕ら。いよいよ魔王討伐が始まった。
ダンジョン内は暗闇だった。ただでさえ禍々しい雰囲気なのにこの暗さは嫌になるな……
「真っ暗ですね……明るくしましょうか」
僕は手のひらに魔力を集める。
光魔法でダンジョン内を明るくしようとすると、
「こら! 魔力は出来るだけ使わずにとっておくんだ」
「え?」
アスカさんは用意していたライトを取り出す。
「木本君しか魔王を倒せないんだ。少しの魔力でも魔王戦にとっておいてくれ」
「なるほど……わかりました」
「私たちはできる限り、木本君の力を消耗させずに魔王のところまで送り届けるためにいるんだぞ」
さすがアスカさん、ベテラン冒険者だ。
少々申し訳ないがここはお言葉に甘えよう。
「ん?」
しばらくダンジョンを進んだところでアスカさんが歩みを止める。
「どうしましたか?」
「モンスターの気配が……」
辺りを見渡すアスカさん。
「え?」
「ええ、来るわね!」
サクラちゃんは剣を構える。
暗闇からモンスターが襲い掛かる。
「くっ」
見たところ相当強力なモンスターだ。魔王のダンジョン、人間界のモンスターだけではないようだ。異世界のモンスターだ。
これには僕も剣を抜こうとするが、その時、
「だからー! アンタは引っ込んでなさいよ!」
「うわっ!」
サクラちゃんは僕を蹴っ飛ばし前に飛び出す。
「ハアッ!」
襲い掛かるモンスターを切り刻む。
「アンタは体力も魔力も温存しなきゃいけないんでしょ? 後ろに隠れてなさい!」
「う、うぅ……はい……」
アイドルのサクラちゃんに守られ、複雑な気持ちだが僕は後ろに下がる。
襲い掛かるモンスターの攻撃を華麗に避け、無駄なく斬っていく。
さすがソードマスターだ。異世界の強力なモンスターが相手でも危うげなく倒していく。
「ふふ、サクラのやつ、しっかり考えているんだな」
そう言い、アスカさんも嬉しそうに微笑みモンスターの斬っていく。
こちらも現役最強冒険者、圧倒的なスピード、パワーでモンスターを粉々に切り裂いていく。
2人のコンビネーションは無敵だった。
最強姉妹の前では強力なモンスターも歯が立たず消え去っていった。
「はぁはぁ……ふう、大体やっつけたわね!」
「あぁ、よくやってくれたぞ、サクラ!」
「ふん! 初めから私を連れてくればよかったのよ!」
「ふふ、本当だな。いつの間にかこんな頼りになって、お姉ちゃんは嬉しいよ!」
アスカさんに褒められ照れるサクラちゃん。
冒険者としてもアスカさんに近い強さに成長しているようだ。
最強姉妹に守られながら無傷で僕はダンジョンを進む。
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