第50話 キモオタ、復活
「キ、キモオタ君……気にすることないですよ……少し休みましょうか! 魔王にやられたばかりですから……落ち込むのも当然ですよ」
「いや……そうだよね。せっかく冒険者になれたっていうのに……情けないよ」
思い出した。
冒険者になりたくてもなれなかったレベル0の頃、悔しくてしょうがなかった。
それに比べて今は僕だけレベルアップして強くなれる。
それなのに一度やられたくらいで何言ってるんだ僕は。
魔王は怖いけど、レベル0の時の方がよっぽど辛かったじゃないか!
「ガイド。バカなこと言ってごめん!」
「え?」
「ちょっと行って来るよ!」
僕は病室を飛び出しサクラちゃんを追う。
「サクラちゃん!」
「キャ! な、なによ! いきなりビックリするじゃない!」
夜の病院、僕の大声に驚いたサクラちゃんはまた可愛かった。
「ありがとう……思い出したよ」
「……なにを?」
キョトンとするサクラちゃん。そりゃそうだろう。
「僕はもう逃げないよ! 必ず魔王を倒してみせるよ!」
「……よく分からないけど、それならよかったわ……、あと……その……」
モジモジしだすサクラちゃん。
「た、助けてくれたみたいで……ありがとうね……」
「!!」
「か、勘違いしないでよ! お姉ちゃんがちゃんとアンタにお礼しろってうるさいからよ! ちゃんとお礼したからね!」
そう言ってサクラちゃんは逃げるように去っていった。
サクラちゃんのツンデレ……これはたまらん……
「ちょっとキモオタ君! いきなり飛び出してどうしたんですか?」
「むふふふ……」
「え? なんですかその顔は!? 魔王の攻撃のせいですか? いつも以上にキモいニヤケ面になってますよ!?」
憧れのサクラちゃんの言葉で目が覚めた。
「ガイド! すぐに修行に行こう!」
「えぇー!? 落ち込んだり元気になったり忙しいですね……」
「思い出したんだ、魔王を倒すのが勇者の宿命だったね」
「は、はあ……」
「僕は何レベルにだってなれるんだ!」
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