第31話 光魔法

「スキル開眼というやつだな。木本君見せてくれよ」


「ひ、光魔法ですか……」


僕が魔法を使えるようになるなんて……




全ての人が持つレベルとスキル。


僕のスキルはレベル0で魔力が低すぎて、人間の鑑定士では発見できなかった。


精霊のガイドだから見つけれたスキルだろう。






「えっと……どうすれば?」


初めての魔法に戸惑う僕。




「うーん……私も魔法使いではないからな……でも魔法使いは手をかざして念じれば魔法が出るようだぞ?」


「なるほど、やってみます!」


暗闇の山に手を向ける。




「あの……大丈夫ですかね!? とんでもない魔力で山が吹き飛んだりしたら……」


「キモオタ君……レベル10でその心配はないですよ……」


ガイドが呆れたように言う。






「じゃあ……いきます!」


僕は手に力を集めて(ようなイメージで)念じる。




「光魔法!!」


手のひらが暖かくなるのを感じる。


すると、辺りが明るくなる。……少しだけ。




「お、おお、なるほど……便利だな……」


「いいですね……懐中電灯がいらなくなりますね……」


「なんだ……こんなもんか」


レベル10の光魔法は懐中電灯の代わりになるくらいの魔力のようだ……




「まあ、炎魔法のスキルを持ってるレベルの低い人もライターくらいの火しか起こせないしこんなもんだろ……?」




「こ、これからですよ! 頑張りましょうキモオタ君!」


「そうだね……」


「たしか光魔法はレベルが上がると光の弾丸を打てたり、剣に光魔法を纏わせることができますよ」


「魔法剣! それはいいな。勇者っぽい!」




「期待してるぞ。明日も早い。食事が終わったらすぐ寝るぞ! だが……」


「ん? なんですか?」


アスカさんが怪訝な面持ちで僕を見る。




「木本君……すこし臭いぞ!?」


「えぇぇ!?」


「あー……たしかに……私も思ってました……」


ガイドも言う。




「いや、普段はそこまででもないんだぞ……?」


「そこまででも!?」


「今日は一日戦って汗をかいたんだろうから……とくに……」


「とくに!?」


なんだ? 僕はいつも臭いのか!?




「木本君、水浴びでもしてきたらどうだ?」


「わかりましたよ……でもアスカさんだって、僕より戦ってたんですよ?」


「なんだと!? 私が臭いというのか!?」


「い、いえ……そういうわけじゃ……」


怒り出すアスカさん。人には言うくせに……




「失礼だな! 嗅いでみるか!!?」


アスカさんが立ち上がる。




「え!?そ、そんな……い、いいんですか?」


「!! 何を言っているんだ! 気持ち悪いな!」


急に顔を赤くするアスカさん。




「キモオタ君……それはキモすぎますって……」


「……理不尽だな……」

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