第26話 モンスターのるつぼへ

「木本君レベル5になったのか! すごいじゃないか!」


 アスカさんは僕のレベルアップを喜んでくれた。




「へへ、アスカさんの剣のおかげですよ」




「ふふ、まあそうだろうな!」




「……」


 もちろんいい剣だから間違いなのだが……






 僕はアスカさんに相談した。




「なるほど、レベルアップに必要なモンスターのだんだん珍しいモンスターになってくるのか」




「はい、それで色んなモンスターの現れるダンジョンへ行ってみたのですけど……」


 僕はアスカさんにお願いする。




「うーん……もちろん高レベルなダンジョンを教えることはできるが……木本君はレベルが上がったとはいえまだレベル5だ。ちょっと強いモンスターに遭遇したらひとたまりもないぞ?」




 当然、アスカさんは心配しているようだ。




「……そうなんですよね」




「それにそんなに都合よくレベルアップに必要なモンスターが見つかるダンジョンもないだろう」




 スライムのダンジョンに行けば様々なスライム族がいる。


 しかしゴブリン族は出てこない。そのたびにダンジョンを移動している時間はないのだ。




「あ! あそこなら……」


 アスカさんがなにかひらめく。




「ダンジョンではないのだが……富士の樹海に様々なモンスターがうろついているエリアがあるな……」




「聞いたことありますね。たしかダンジョンから逃げ出したモンスターが集まってるって……強力なモンスターもいて半端な冒険者じゃ手出しできなって」




「そうだ、モンスターのるつぼ、何て呼ばれている。あそこならレベルアップに必要なモンスターも簡単に見つかるかもしれないな」




「……でも……強いモンスターもいるんじゃ……」


 さすがにそんな強いモンスターは僕じゃ無理だろう……




「そうだ、だから……今回は私も一緒に行こう」


「え? アスカさんが!?」


 嬉しいサプライズだった。




「ああ、ちょうど今の仕事が来週には一段落する」


 アスカさんはギルド竜の牙の剣士だ。毎日ハイレベルなダンジョンのボスを討伐し、市民の平和を守っている。




「アスカさんが来てくれるなら……心強いです!」




「よし! ちょうど木本君も来週から夏休みだろ? 合宿をするぞ!」




 合宿!? いいな……アスカさんと合宿なんて夢のようだ!




「いいですね! 一気にレベル50まであげますよ!」




「ふふ、頼もしいよ。じゃあ来週までは体を休めておけよ? 地獄の合宿になるぞ!」


 ニヤリと笑うアスカさん。




「は、はい……」




 レベル上げ合宿……つらいだろうがこの合宿でネクロマンサーを倒せるレベルまで上げないと……サクラちゃんが……




「じゃあ私は仕事に戻るよ」


 アスカさんは仕事に戻るようだ。




「あ、忙しいところすみません! ちなみに……今の仕事ってどんなダンジョンなんですか?」




「ああ、これから行くのはS級ダンジョン ダイアモンドゴーレムのダンジョンだ。まあ2,3日で片付くだろう」




「……S級……」


 改めて世界トップレベルのアスカさんの凄さを感じた。

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