実情といいわけ

バブみ道日丿宮組

お題:苦い言い訳 制限時間:15分

「それでどうして遅刻なんてしたの?」

「階段で困ってるおばあさんがいてさ」

「そういうのいいから。嘘つかなくていいよ」

「えっと、キャッチセールスにあってさ」

「ふーん、無視すればいいじゃん」

「あぁいうのってほんとうにしつこくてさ、道塞がれちゃったんだよね」

「違法でしょ。警察に連絡すればいいじゃない。携帯電話あるよね? あれれ、あっても連絡してこなかったの誰かなぁ? おかしいなぁ」

「……急いでたから忘れてたんだ」

「ふーん。それで3時間も待たせるんだ。何回もナンパはきて、こっちは大変だったんだけどなぁ?」

「それは悪かったって思ってる。弁解しようと思ってる」

「なにかしてくれるってこと?」

「……可能なところであれば対応する。いや……させてください」

「頭下げちゃって……言い訳じゃない本心は結局なんなの?」

「家に幼なじみが来てさ……そのまま一緒に」

「は? えっ? どういうこと? 寝たの?」

「率直にいうのであれば、はい。そうです。寝ました」

「はー? 彼女ほったらかしにして、他の女と寝た? ひょっとして冗談で言ってるの? 笑えないよ。ほんと、笑えない」

「……事実なんだ。すっごく気持ちよかった」

「あなたの感想はどうでもいいんだけど!? ってか、なに!? 私と寝ると気持ちよくないってこと!? はぁ? ふざけないでよ」

「比較はしてない。どっちもほどよい感じ。幼なじみの方が胸が大きくて柔らかいぐらい」

「喧嘩売ってる? 売ってるよね。もうカチーンってきたよ」

「埋め合わせは今製造中だからさ、もう少し外回らない?」

「……どんだけ出したのよ。今日のことどれだけ期待してたと思ってるの」

「……寝るのを?」

「それは一部であって、あなたのすべてじゃない。もちろんしたい。何回だってしたい」

「打ち止めにはなってないから、今日はできるよ」

「……終わったことには何も言えないけど、幼なじみなのよね? ただの」

「あぁ、幼なじみだ。ただの」

「違うでしょ。ただの幼なじみと寝るなんて普通はないから」

「そう? わりとあるでしょ」

「絶句。あなた何言ってるかわかってる?」

「知ってる。だが、関係性は今更直せない」

「それって今後も幼なじみがきたら、寝るってこと?」

「場合によっては」

「やめてよね。私って彼女がいるんだから、私だけにそういうことをして」

「仲悪くなりたくないんだ」

「だからって……だからって……そんなの許せるはずないじゃない」

「許してほしいとは言わない。許容してほしいとだけ言わせてほしい」

「……会わせて」

「誰に?」

「幼馴染にによ。直接言うから、こいつは私のものだって」

「わかった。まだ家にいると思う」

「じゃぁ、行きましょう。手はつないでくから、絶対!」

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実情といいわけ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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