年上のオンナノコ
スリムあおみち
第1話恐い先輩のはずが
「ハルマ~、焼きそばパンとコーラ買ってこい」
ヤンキーでダブりの尾張ヒサメさんのだるそうな声が教室の入り口から響いた。19歳のJK3が何故1年生の僕のところに来るかというと、彼女と僕は年の離れた幼馴染だから。
無視していると同級生に何らかの被害が行ってしまうので素直に席を立ち、ヒサメさんのところに。ピンクに染めたツインテール。左小鼻にピアス。着崩したミニスカセーラー服。こんな悪そうな人が、どうして学校に毎日来てるんだろう。
「お金無いんですか?」
「月末だからさぁ」
ヒサメさんはちょっときまり悪そうにうつむいた。
「焼きそばパンとコーラですね。買ってきますけど教室に持っていきます?」
「屋上」
そっぽを向いてぼそっと返事。ダブリで自分の教室にも居場所無しか。
購買部で焼きそばパンとコーラを買って屋上に行くと、彼女はフェンスに背中を預け、腕を組み、所在無げに風に流されていく雲を眺めていた。
「ハルマ、飯食ったか」
「弁当食べ終わったタイミングでヒサメさんが来たんですよ」
「そっか。隣に座れや」
すとんとその場に腰を下ろすヒサメさん。僕も隣にしゃがみ込んだ。
「食べさせてくれよ」
こっちに向かって口を開ける19歳。あれ、舌にもピアス?
「これはセンコーも取れとは言わなかったよ」
自慢げに舌を突き出すヒサメさん。月末金が無いってこれに使ったんだ。
僕が焼きそばパンのビニール袋を開けるとヒサメさんはかぶりついた。あ、なんかエッチだ。
「コーラ」
ペットボトルのコーラも飲ましてあげる。やっぱりなんかエッチだ。分かってやってるのか?分かってやってるんだろうな、この人いたずらっ子だから。
「ハルマ、女の子にこうやってご飯食べさすと楽しいだろ」
「はい」
「あたいで練習しとけよ」
上目遣いで焼きそばパンを頬張るヒサメさん。舌のピアスがカチャカチャ言ってるけど邪魔にならないのかな。
「コーラ」
炭酸飲料を他人に上手く飲ますのは意外と難しい。っていうかヒサメさん、そんな切なそうな顔しないで。
「ハルマに食べさせてもらうと美味しいな。あたいの弟になれや」
「弟……」
「カノジョが出来たら姿消してやっからよ」
「なんでそんな寂しいこと言うんですか」
「あたい、卒業したら東京行こうかな~と思って」
「そうですか。就職?」
「出来るといいな~。ああ、ハルマに見せたいものがあるんだけど放課後うち寄れや」
ここじゃ見せられないものか。 ちょっと期待しながら「はい」と返事をしたらヒサメさんはニヤッと微笑みながら僕の頭を抱き寄せた。幼馴染なのに、オンナノコのいい匂い。あれ、僕もしかしてユーワクされてる?
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