好奇心彼女と恥部見せ王子 ~王子の“アレ”を触るため。結婚、狙います!~ #ちぶさわ
@Sayono_18
プロローグ
窓の少ない廊下を歩く、二人の男。王子と呼ばれた男と、彼を呼んだローブを着た男だ。
王子が一歩歩くごとに、金色の長く細めの三つ編みが揺れる。ローブの男はそれを見ながら、肌に一筋の汗を流しながら王子の後ろを歩いていた。
「本当にいいんですか?王子。二人で考えれば、まだ……」
戸惑いと、心配の混ざったようなローブの男の声を聞いた王子は、足を進めながら、振り返らずに返事をする。
「いいや、この方が確実なんだよ。私はもう決めた」
「しかし……自分が言うのもなんですが、それを承知の上で、」
ローブの男がそこまで言うと、王子は足を止め、後ろに振り返る。
王子の青い瞳が、ローブの男を映す。まさか、自分が思い出して提案した“あること”を実行するとは思っていなかった男の、不安そうな姿だ。
それに対する王子の表情は、どこか楽しそうにも見える。そして、ローブの男の顔を見て、ふ、と笑った。
「心配してくれているのはわかっている。しかし、私はこの“魔法”に賭けたいんだ」
「お、王子……しかし、もしこの件が他の国の者に知られたら……」
「きっと私に結婚を急かした父上と母上が、何とかしてくれるよ」
「ちょ、王子っ?!」
イタズラを考えている子供のように笑う王子を見て、ローブの男は思わず声を上げる。
遅めの反抗期、と言うやつなのだろうか。内心そう思っているローブの男にまた背を向け、王子は歩き出す。
「さあ、時間ももったいない。行こう」
「は、はいっ!」
二人は廊下の先にある、鍵のかかった部屋に向かって歩いている。そして、その部屋に入ってからしばらくして……───────
一時間後。王子は城のバルコニーから、広場に集まっている国民を見ていた。
突然呼び出された、どよめいている国民達に感謝の念を込めながら、王子は口を開く。
「お集まり頂き感謝する!私はこの国の王子、ペルマ・スターチス・バーベリエだ!」
王子……ペルマが高らかに名前を宣言しているのに、多くの国民はペルマを見ていない。
いや、正確には“ ペルマの顔 ”を見ていない。ペルマを見ていることには見ているのだが、その部分が違うのだ。
「突然だが、簡潔に要件を発表させてもらう!」
中には、ペルマから顔を逸らしている者もいる。その者たちの顔は、軒並み顔が赤い。
王子の後ろで拡声魔法を使っているローブの男は、そんな国民達の反応を見て冷や汗を流していた。
このような反応になるのは、当然のことである。何せ、今のペルマは。
「今この時、私の“ 恥部 ”が見えていない女性と婚約することとする!
該当するもの、つまり見えていない女性は、すぐに城に来るように!」
ズボンを着ているにもかかわらず、綺麗に股間が見えていた。
まるでズボンやパンツを丸く切られたかのように、恥部が露出している。
当然、王子のズボンとパンツは切っていない。しかし、何故か貫通している。まるでその部分だけ布が円形に透明になったのか、と思うほどに。
「な、お、王子は気が狂ったのか……?!」
「で、でも布が切られてる感じでもないような……」
「え、露出する魔法……?」
「いや仕事中断してきたのに一体何見せられてるの……?!」
突然の王子の奇行に、国民達はどよめいた。
しかし、ただ見せつけているだけではなく、「婚約する」という言葉に反応する者も多数いた。
「婚約って言ってたよな……おい、誰か見えてない人は居ないのか?!」
「わ、私は見えてない!けど行くのはなんか嫌!」
「嘘つけ顔赤いぞ!!」
混乱、困惑している国民達の中には、一人の少女が居ない。それに気づく人はもはや居らず、バルコニーでまだ立っているペルマの話でもちきりだ。
ざわめきが大きくなる頃に、ようやく少女は家の中から出てきた。
「凄い騒がしいな……なんだろう?いこっか、ラーナ」
ラーナ、と呼ぶ白いカエルが肩に飛び乗ったのを確認してから、少女は広場の方に目を向ける。どうやらみんなが集まっている。それを察した少女は、寝起きの体で広場に向かった。
「(お母さん、起こしてくれても良かったのに)」
気を利かせてくれた母親を思い浮かべて、少女は顔をほころばせる。
少女の桃色のポニーテールが、風に吹かれて揺れる。その心地のいい風に、少女は少し胸が踊った。
肩に手の甲を近づけると、ラーナはすぐに飛び乗る。そして少女は手を胸の辺りに持ってくると、ラーナに向けてにっこりと笑った。
「何だか、今日はいいことがありそうだよね!ラーナもそう思う?」
少女の問いにラーナは、ケロ、といつも通りの短い鳴き声をあげる。そのままの状態で歩いていると、すぐに広場に着いた。
普段とは想像できないほどにざわついているのを見て、少女は近くにいた顔見知りのおじさんに声をかけることにした。
「おじさん、何かあったんですか??」
「あ、ラナン!やめとけ見るなっ!帰んなさい!」
「え??」
ラナン、と呼ばれた少女は、おじさんの言葉を直ぐに理解できずに首を傾げた。言葉がわかるのか偶然か、ラーナも首を傾げている。
多くの人間が城の方に顔を向けていることに気づいたラナンは、皆と同じように城に顔を向けた。
「あっ、ラナン……!」
おじさんの声は、ラナンの耳に届かなかった。
何故なら。城に目を向け、このどよめきの原因である“ アレ ”を見た瞬間。
ラナンの世界が、一瞬無音になった。
いや、正しくは目を奪われたのだ。
城のバルコニーに立っている男……の、下半身に。
「(あ、あれは……!)」
ラナンの黄色の目が、きらきらと輝く。そう、その目は彼女が興味を奪われた証拠だと、ラーナは知っている。その視線の先にあるのは、もちろん。
「(あれ、凄い触りたい……!!)」
王子の股間にぶら下がっている、“ アレ ”だった。
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