第17話
「とりあえず、凍結の『漫画』を百枚。ノルマは熟したな」
数日後に、ジャンヌさんを探して、『漫画』を渡した。いや、スクロールもどきだな。
「魔法のスクロールを、こんな短時間で作り出すなんてね……」
「ドラゴン討伐、頑張ってくださいね」
「ああ……。倒せないかもしれないけど、仕掛けてはみるよ」
まだ、不安要素はあるんだな。
それと、ギルド長から、ゴブリンの話を聞いた。
十日間で、討伐は一匹なんだそうだ。遠くまで逃げたと判断されたらしい。
殲滅は、無理と判断されて、近隣の街との共同戦線を敷くことになったらしい。
ゴブリンの繁殖力は、それほど脅威なんだな。
それと、鷲は放してあげた。鳥の目線でもゴブリンが見つからなかったからだ。
頑張ってくれたので、肉を多めに食べさせてからテイムを解除するために、『漫画』の描かれた紙を剥がした。
鷲が飛んで行く。
◇
喫茶店シーナに戻って、竈に火を付ける。
それはいいんだけど。
「どうしたんですか? この食材……」
「昨日のユージの一言が余計だったね。冒険者だけでなく、町民も食材を持って来たよ」
「無駄になりませんか?」
「調理した物を全て料理にするのが、ユージの特技だろう? 今日は、200人分と考えてくれ」
また数が増えたよ……。体力持つかな。
それ以前に、メニューを早々に決めないとな。
山の様な食材を前に、考えを纏める。
「煮込み料理で行こう……。水炊き……、は手抜きし過ぎだな。う~ん。トマトとかコンソメが欲しいな……。まあ、人気あるし、また出汁は椎茸でいいか……」
調味料の充実も考えたいな。
昆布とか、かつお節が欲しくなって来た。たしか、焼いた魚でもいいんだよな……。
◇
「シーナさん! オーダーストップで!!」
「あ~もう!」
今日も今日とて、客が多い。
簡易椅子まで持って来て、私の漫画を読んでいる客までいる。
そいつは、アルコールを瓶飲みしてるし。
まあ、持ち込みではなく、店から買ってるのだから文句も言えないんだけど。
でも、店の外の道を半分占拠しているのは、問題だよな。
近々、衛兵とか来そうだ。
「ふ~。後は会計だけだね」
シーナさんが来た。会計は、アルバイトに任せている。
「シーナさんは、休んでてください。私は、洗い物して掃除します」
「……すまないね。少し座らせて貰うよ」
あれだけ走り回ってたんだ。文句などある筈もない。
『私より、重労働だよな……。食器だけでも増やしたいところだ』
それと、アルバイトを増やすことも考えたいな。
正直、給仕が追い付ていない。
私は、考えながら洗い物に手を付けた。
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