16. フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年、アメリカ)

 いつもアクション映画ばかり取り上げている気がしますが、別にアクション映画だけ見るわけではありません。


 ヒューマンドラマとして、感動した名作です。


 監督は、ロバート・ゼメキス。主演は、まだ若かったトム・ハンクス。日本公開は1995年ですが、配給収入38億円を超える大ヒットになりました。


 劇中に台詞としても登場する「人生はチョコレートの箱。開けてみるまでわからない(Life is like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.)」がキャッチコピー。


 この台詞は、「アメリカ映画の名セリフベスト100」において第40位に入っています。


 元々は、1985年にウィンストン・グルームが発表した小説『フォレスト・ガンプ』をエリック・ロスが脚色して製作された映画ですが、原作とは大きく変わっているそうです。


 タイトルの「フォレスト・ガンプ」は主人公の名前。「フォレスト」(Forrest)は白人至上主義団体であるクー・クラックス・クランの結成者として知られるネイサン・ベドフォード・フォレストから取られています。

 「ガンプ」(Gump) はアラバマ州の方言で、「うすのろ」「間抜け」「愚か者」を意味するそうです。


 人より知能指数は劣るが、純真な心と恵まれた身体、母への愛とある一人の女性への一途な思いを持ち、心ない人からは嘲りを受けつつも、それ以上に良き心を持つ周囲の人々の協力を受けて数々の成功を収め、同時に幸福を周囲にもたらしていく「うすのろフォレスト」の半生を、アメリカの1950~80年代の歴史を交えながら描いたヒューマンドラマです。


 アラバマ州グリーンボウに住むフォレスト・ガンプは普通の子供よりも知能指数が低く、また脚に装具をつけなければ歩行もままならない少年でした。


 入学初日、スクールバスに乗ることとなったフォレストは「知らない人の車に乗ってはいけない」という言いつけを思い出して戸惑うが、運転手と互いに自己紹介しあうことで乗り越えます。


 バスの中では誰もフォレストを隣に座らせませんが、ただひとりジェニーという女の子だけは彼のために隣の席を空け、以後2人は自然と仲良くなります。


 そこから展開される、ジェニーへの純粋な愛と、ベトナム戦争、卓球での活躍、全米を走る活躍、そしてエビ漁での成功。


 一度、見るとわかる、素晴らしい話であると同時に、「障碍者しょうがいしゃ」を扱った繊細な物語なのに、ものすごく感動する、という意味で、私の人生の中でも特異な位置にある作品です。


 なお、作中に時代を反映するかのように、エルヴィス・プレスリー、ジョン・F・ケネディ(大統領)、ジョンソン大統領、ニクソン大統領、ジョン・レノンがアーカイブ出演しています。


 人生とは、幸せとは。そんなことを考えさせられる、不思議な魅力を持った作品。

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