ダンジョン対策課との電話

 ステータスシステムが起動した日の夜、ダンジョンへ入るという危険?を冒した俺達は、両親にこってりと叱られた。正座していたので、足がひりひりする。


 お説教の後、それぞれが得たスキルについて情報交換した。お義母さんはスキルを得ておらず、お義父さんは【快眠】というスキルを得たらしい。


「それで、咲良達はどんなスキルを得たんだ?」


「私は剣術を、カナが回復魔法、アユが水魔法をゲットしたわ」


「剣術はともかく、回復魔法と水魔法は便利そうだな」


「ちょっと! 剣術も悪くないでしょ!」


「だって日常生活で必要ないだろ……。で? 回復魔法ってどんな感じなんだ?」


「減った生命力を上げてくれる魔法だよ。ただ、一度生命力が0を切って、肉体的な傷を負ってしまったら、凄く治りにくくなってしまうの」


 生命力が残っている限り、肉体的な怪我を負う事は無い。つまり、生命力1の状態でも、体は元気という事だ。しかし、生命力が一度0になってしまうと、その後に受けた傷は肉体に残る。

 そして、そうやって実際に負ってしまった傷は、回復魔法では治りにくい。治せない事も無いのだが、魔力を大量に消費してしまう。


「なるほどなるほど。で、水魔法ってのはどんな感じなんだ、歩夢?」


「ああ、こんな感じ」


 丁度、空のコップがあったので、そこに水を入れる。ついでに氷も浮かべてみた。


「こんなことができるぞ。後は……」


 別の食器の上にミスト、スノーを発動。かき氷の完成である。


「「おお!」」


 と驚く両親の横で、姉さんと加奈は「シロップ、あったっけ?」「練乳ならあるよ」とかき氷の準備を始めたのだった。



 その後、俺達はテレビを眺めていた。どのチャンネルでもステータスシステム、ダンジョン関連の情報が流れており、「ダンジョンには入らないように」「自身のステータスをむやみに言いふらさないように」「不本意なクラスを授かっても、自暴自棄にならないように」などの注意喚起がなされている。


 そんな時だった。突然自宅の電話が鳴り響いたのは。


「出てくるわ。はい。はい。はい。ダンジョン対策課の方ですか。その節はお世話になりました。はい。え? あ、はい」


 お義母さんは電話口でぺこぺこしている。いるよな、こういう人。見えているはずが無いから、お辞儀しても意味が無いのに、何故かやってしまう。

 ちなみに、俺もしてしまう派だ。


「咲良? ダンジョン対策課の方から電話……。あれ、咲良は?」


「トイレに行ったよ」


「じゃあ、歩夢君。お願いして良いかしら?」


「オッケー。はい、お電話変わりました、歩夢です」


『こんばんは、ダンジョン対策課に務めております、佐藤と申します。今日、夢見町の月見山のダンジョンを発見された方で間違いないでしょうか?』


「はい、そうです」


『その事について、伺いたいことがありまして。単刀直入にお伺いしますが、ダンジョンを発見するスキルなどをお持ちなのではないでしょうか?』


「えっと? 持っていませんけど」


 何故バレた! 確かに俺は【魔力感知】を持っている。現時点ではまだ、空気中の魔力量がダンジョンよりは少ないので、俺はダンジョンの在りかを嗅ぎつける事が出来る。

 ただ、『自身のステータスを他人に言いふらさないように』なんて注意喚起があったばかりだ。教えるのは憚られる。という訳で、見事に俺はしらばっくれた。


『本当ですか? あー、そうですよね。突然こんなことを言われても警戒して当然ですよね。自身のステータスをむやみに言いふらさないように呼びかけていますし。どうしよう、えっと……』


『(あーもう! 僕に代わってくださいっす!)。すみません、私、ダンジョン探索課の白石栄作と申します。私達の所属に関しては、政府の公式ホームページを見て、確認頂ければ幸いです。まずは、ダンジョンの発見報告、ありがとうございました。頂いた情報は、一般市民が無策でダンジョンに侵入するのを防ぐために、使わせて頂きます』


「あ、はい」


『それで、我々は一刻も早く、他のダンジョンの場所に関しても調べ上げたいと考えています。少なくとも、誰かが怪我を負う前に。それでですね……』


 その後、白石さんが語るには、俺達はの行動が明らかにそこにダンジョンがあると確信していたようにしか思えないそうだ。実際そうだから、何とも言えない。向こうにエスパーでもいるのか?!


『と考えたわけです。もしそうであるならば、ダンジョン発見にご協力いただきたいと考えています。電話でいきなりこんなことを話されても困るでしょうし、何よりあなたは高校生。親御さんともご相談する時間が必要でしょう。もしも、我々に協力しても良いという事でしたら、内閣府のホームページ、若しくは公式つぶやいたーに掲載しております、ダンジョン対策課の番号まで改めてご連絡ください』


「あ、はい」


『それでは失礼いたします』


 どうしよう……。四人に相談しなくてはな……。


 てか俺、「あ、はい」としか言ってなくね? なんだか、向こうのペースに乗せられたみたいで癪だなあ……。




◆ステータス◆


 参考までに、おおよそのレベルや所持スキルの一部を紹介。


『赤木歩夢』

レベル:84

生命力最大値:248(×1.2:冒険者)

生命力回復率:4

魔力最大値:338(×1.2×1.5:魔法使い:魔力の使い手)

魔力回復率:6(×1.2×2:魔法使い:魔力の使い手)

幸運値:852


スキル※一部省略

・夢渡り(Lv.---)

・風魔法(Lv.42)

・水魔法(Lv.47)

・火魔法(Lv.41)

・土魔法(Lv.46)

・光魔法(Lv.13)

・自滅(Lv.0)

・鑑定(Lv.10)

・異世界語(Lv.42)

・ステータス偽造(Lv.53)

・ダンジョンスキップ(Lv.---)

・身体強化(Lv.6)

・ドロップ数上昇(Lv.12)

・ジャミング(Lv.14)

・魔力感知(Lv.23)

・魔力ブースト(Lv.3)

クラス※一部省略

・■■、学生、異世界の者、ハンター、魔法使い、冒険者、魔力の使い手、コレクター、魔力を見る者



『赤木加奈』

レベル:75

生命力最大値:189(×1.2:冒険者)

生命力回復率:3

魔力最大値:397(×1.5×1.8:魔力の使い手:エンチャンター)

魔力回復率:7(×1.5×2:ヒーラー:魔力の使い手)

幸運値:52


スキル※一部省略

・回復魔法(Lv.57)

・水魔法(Lv.4)

・自滅(Lv.0)

・鑑定(Lv.12)

・異世界語(Lv.42)

・ステータス偽造(Lv.53)

・ダンジョンスキップ(Lv.---)

・身体強化(Lv.3)

・エンチャント(Lv.21)

クラス※一部省略

・学生、異世界の者、ハンター、ヒーラー、冒険者、魔力の使い手、エンチャンター



『赤木咲良』

レベル:83

生命力最大値:445(×1.2×1.2×1.5:剣士:冒険者:魔法剣士)

生命力回復率:7(×1.2:剣士)

魔力最大値:141(×1.5:魔法剣士)

魔力回復率:3

幸運値:49


スキル※一部省略

・風魔法(Lv.12)

・水魔法(Lv.13)

・火魔法(Lv.17)

・土魔法(Lv.2)

・光魔法(Lv.3)

・剣術(Lv.62)

・自滅(Lv.0)

・鑑定(Lv.14)

・異世界語(Lv.42)

・ステータス偽造(Lv.53)

・ダンジョンスキップ(Lv.---)

・身体強化(Lv.42)

・咆哮(Lv.34)

・魔剣術(Lv.21)

クラス※一部省略

・学生、異世界の者、ハンター、剣士、冒険者、魔法剣士




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