あのっ、連れていってください!(ユニット:ゼルシオス&フレイア&ヒルデ&ネメシス)
「はい、これがお願いされたものです!」
ネメシスが持ってきたのは、二つの宝箱だ。
よく見ると、片方が大きく、もう片方が小さい。
「玉手箱……いや、つづらじゃねぇよな?」
「ご主人様、何ですかそれ? 目の前にあるのは宝箱ですよ?」
「ああ、知ってるぜ。ただ、前世の童話を思い出したんだ」
前世は日本人であるゼルシオスは、死ぬまでのほとんどの記憶を継承している。浦島太郎も舌切り雀も、既知だった。
「それで、どっちに何が入ってんだ?」
「はい。え、えっと、小さい方から言いますね。こっちには“深海の秘薬”が入ってます。4本くらい」
「4本? 気前がいいな?」
「い、
ネメシスなりの気の利かせ方だった。
「それにしても、売りゃあけっこうな額になりそうだな」
「そんなにですか? 確かに、『万病を治し、瘴気や邪気をも
「あー……」
今の説明を聞いて、ゼルシオスは思案した。
「冗談。売らねぇよ。つーか、ここまでくると戦略的物資じゃねぇか。あるだけ欲しいくれぇだぜ」
「えっと、これで打ち止めです……。もっと渡してあげたいんですけど、その秘薬はレアもレアなので……」
「そうかよ、だったらそれまでだ。無い物ねだりは出来やしねぇからな」
あっさりと追加の秘薬を諦めたところで、ゼルシオスはもう一つの宝箱に話を振る。
「んで、もう一つは?」
「“戦いに役立つもの”です。集めてきた武器が、いろいろあります。剣に、槍に、
「立つ!
「く、食い気味だな……」
頼んだフレイアがドン引きする勢いで、ゼルシオスが叫ぶ。
それは彼の直感だけでなく、合理的理由も含まれていた。
「適正あるやつに装備してもらうぞ! 200人いるんだ、誰かにとってピッタリな武器になるはずだ! いや、間違いなくなる! 何なら俺が貰う!」
「す、すごい入れ込みようだな……。だが、せっかく貰うのなら、そのくらいの気持ちでないとな」
「ご主人様、大好きなオモチャを前にした男の子みたい」
「るせぇ、ヒルデ。確かにお前からすりゃあ俺ぁガキだけどよ」
片やおよそ7,400歳、片や70歳(前世基準、かつ前世と今世の合計年齢)である。105倍以上の年齢差であり、ヒルデとゼルシオスはもはやおねショタというレベルの年の差ではなかった。
ちなみに、ヒルデの母親であるフレイアは、実年齢は1万歳を超えている。
「あ、あのっ!」
と、ネメシスが叫ぶ。
「おっ?」
「はい?」
盛り上がっていたゼルシオスとヒルデが、ポカンとした表情を浮かべると――ネメシスは、“お願い”を口にした。
「私を海の上に……あなた達のいるところに、連れていってください!」
それを聞いたゼルシオスは、ニカリと白い歯を覗かせた笑みを浮かべ。
「ああ! 来いよ、ネメシス!」
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★通達
FFXXが3回まで「深海の秘薬」を使える状態になりました。
※本来は4つなので4回だが、うち1つはマリアの幼馴染に渡すため除外
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