承章:増える友、そして異世界の真実

襲来、巨大隕石!1(FFXX本隊& vs 殲滅隕石 a.k.a. タライマワシ彗星)

 フロインデ・ファータ・イクスクロイツ連合において唯一、今は目に見えない危機に気づいたゼルシオスが叫ぶ。


「防衛体制整えろ! チキショウ、こうなるんなら今からでも……!」


 ゼルシオスがヴェルリート・グレーセアの通信端末を起動して叫ぶ。


「フレイア! ヒルデ! ティトット振りほどいてでも俺のそばに来い! 緊急事態だ!」


 最低限の伝達事項を終えると、アドレーアから通信が来る。


『ゼルシオス様、何が見えておられるのですか? こちらでは何も……』

。バカでけぇ、な」


 ゼルシオスの直感は、元々視覚的なものを含むが、時に映像を伴う。

 と、アズリオンが高度を上げて来た。


「ゼル、何が見えている?」

「てめぇらの世界で“隕石”って概念はあっか? まぁ、バカでかい岩が落ちてきそう、ってこった。この辺にな」


 ベルグリーズ王国に隕石の概念は全く存在しないが、しかしゲルハルトは今の説明で察した。


「もしも落ちようものなら、被害は甚大なことになるだろうな」

「ああ。だから俺らで、可能な限り撃って砕く。出力最大にしとけ、俺よりつえぇアレ、使えんだろ?」

「もちろんだ。だがおれには、お前と違って正確な場所は見えない。攻撃位置の誘導を頼む」


 ゲルハルトの視力は優れた部類だが、それでも今現在、ゼルシオスに見えている隕石は見えない。


「あいよ。その前に、まずは高度を可能な限り上げるぞ」


 そう言ってヴェルリート・グレーセアの高度を上げるゼルシオス。ゲルハルトも、それに続く。


「……やっぱり気づいてやがるか、空獣ルフトティーアども。普段なら俺らを狙ってくるはずなのに、無視して一目散に高高度へ飛んでやがるぜ」


 普段は高高度に飛ばないはずの個体であっても、何かから守るために高度を取っている。

 ゼルシオスはあずかり知らないが、エリア8どころか全エリアの空獣ルフトティーアが、防衛行動をとり始めていた。


 さらには、一部の竜種までもが、空獣ルフトティーアと行動を共にする。


「ゲルハルト! 空獣ルフトティーアは無視しろ。敵意はぇようだ」

「承知した。お前の言う“隕石”に狙いを集中させる」


 宇宙空間ギリギリまで高度を取った二人。

 ヴェルリート・グレーセアはどういうわけか外宇宙に出ても耐えうる能力が付されており、アズリオンもまた高高度においても与圧機能で活動への支障をもたらすことは一切無かった。


 かくして、高度は10万mメートルに至ったのである。


「直接、見えてきたな。っせぇけど」

「ああ。であれば、すべきことはたった一つだ」


 ゲルハルトは右腰に取り付けた剣のつかを取り出し、結晶状の刀身を展開する。

 その長さは、通常に倍する以上――40mメートルにも及んだ。


「頼むぜ、ゲルハルト。俺も俺で、砲撃の準備はしとくからよ」

「ああ。おれの、おれたちの全力をぶつける」




 倒すべき存在を目視した二人の黒騎士は、迎撃準備に全力を割き始めたのであった。


---


★解説

 ようやく中盤に突入したところです。

 中盤最初、かつ最大の敵としてこれ以上の適任はいないでしょう。

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