第04話:雨は止みませんがデートは終わりですね
雨、止みませんね。天気予報を見てみたんですけど、今日は一日中、雨模様みたいです。ですので、また先輩と相合傘ですね。えへへ。
あー、今日は楽しかったですね。観たかった映画も観れましたし、ずっと食べたかったパンケーキも食べることができましたし。ウィンドウショッピングとかゲームセンターも楽しかったです。
ねぇ、先輩。先輩は何が一番楽しかったですか? ……私といる時間はずっと楽しかった……って、え? えぇ!? きゅ、きゅ、急に何を言い出すんですか!? そりゃあ、私だって先輩といる時間はずっと……。
……え、冗談? 喫茶店の時のお返し? そ、そうですよね、冗談ですよね。もちろん気づいてましたよ。気づいてはいましたが、せっかく先輩が冗談を言ってくれたので、優しい私は冗談に乗ったフリをしてあげていたんですよ。まさか冗談に気づかないはずないじゃないですか。アハハハハハ。
……もぅ、ドキドキしたのに。先輩のバカ。
ところで……ねぇ、先輩。今朝、私の友達のことを相談したのを覚えていますか? ずっと片思いしている男性がいて、ずっとアピールしているつもりなのに、好きだってことにすら気づいてもらえない友達の話です。
その友達、やっぱりダメだったみたいです。やっとデートするところまでこぎつけて、1日中できるだけアプローチをかけてみたみたいなんですけど、やっぱりそれでも好きだってことにすら気づいてもらえなくて……。告白する勇気だって出せませんでしたし……。
ねぇ、先輩。その友達は、これからどうすれば良いんでしょうか? 想い続けている相手に、友達としてしか見てもらえなくて、異性とすら見てもらえていないんじゃないかって思えてしまって。……もうどうしたら良いのか分からないんです。……もう好きだって気づいてほしい気持ちを諦めるしかないんでしょうか?
駅が見えてきましたね。駅に着いちゃったら、今日はもうお別れですね。
……ねぇ、先輩。私、少し歩き疲れちゃったみたいなので、もう少しだけゆっくりと歩きませんか? この時間が終わってしまわないように、もう少しだけゆっくりと。
……ありがとうございます。先輩。
駅についてしまいましたね。今日はありがとうございました。本当に楽しかったです! ……心残りがない訳ではありませんけど。
それでは名残惜しいですが、今日はさよならです。それじゃバイバイです、先輩。
…………。
え、「なんで立ち去らないのか?」って、先輩だって立ち去ってないじゃないですか。
先輩が見えなくなるまで、私がずっと手を振っていてあげますから、どうぞ先輩がお先にお帰りください。
先輩が見送るから先に私が帰るべき? いえいえ、先輩がお先に! いえ、私が先だなんてとんでもない!
……ぷっ、えへへへへ。こんなやりとりを続けていたら、一生ふたりとも帰れませんよ?
それじゃあ、いっせーのーせっ、で一緒に立ち去りましょう。それなら公平でしょ?
では、いきますよ。いっせーのーせっ!
…………。
なんで立ち去らないんですか!? 先輩、それはズルですよ、ズル! ……そういう私も立ち去ってないじゃないかって? ……えへへ、そういうこともあります。 先輩とのこういうやりとりも楽しいから困るなぁ。いえいえ、こちらの話です。
それでは、次はズル無しでお願いしますよ。いっせーのーせっ!
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