第51話 まだ見ぬ世界へ
『くそっこのままじゃ……』
逃げ
だが竜が逃げ出す前に
「逃げられませんよ!」
リーフの《イーグルスラッシュ》!
片翼を大きく損傷させることができた。これで治療するまでは飛べまい。
『やべっ……』
相棒の口からつい
元々彼女は攻撃魔法で戦うタイプだ。得意の火炎魔法がきかない時点でやれることは少ない。
その少ない「やれること」の中で一番有効な行動。
それは逃げる事だった。
「あ~えっと~わたくし急用を思いだしてしまいましたわ。
皆様ごきげんよう~!」
そう言って背をむけ空へ逃げ出した。
ビックリ
『あっテメー! あとで覚えてろよ!!』
「オホホホ……」
自分に背中を向けてしまったファフニールにむかって、アイシラは悪意ある笑顔で話しかける。
「心配いらないわよ。キッチリ二人仲良くやっつけてやるから!」
『えっ?』
「いくよタカキ!」
「うん、姉さん!」
アイシラとタカキ。
二人は同時にファフニールの背中めがけて跳んだ。
同じ技を使える者がいないと出来ない、合体
『ちょ、ちょっと待っ』
「問答無用! タアーッ!」
空中で青白い闘気をまとう姉弟。
二人は一つの流星となって、いま必殺の蹴り技を完成させる。
《ダブルりゅうせいキック》!
『ホゲェー!?』
間抜けな悲鳴をあげながら天たかく打ちあげられていくファフニール。
その
『ホゲェー!?』
「えっちょっと何する気ですの貴方、ギャー!」
高速でブッ飛んでくるファフニールの巨体は、それ自体がもはや凶器である。
フライング・ファフニール・アタック(仮称)を喰らったリリスも一緒になってブッ飛んでいく。
『ヤな感じー!!』
キラッ☆
二人はお星さまになった。
「「いよっしゃー!!」」
笑顔でハイタッチをかわす姉弟。
完全勝利である。これでかつての
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「よかろう。アクアマリンと
皇帝陛下の
いま世界で起こっている異常事態を重く受け止めた皇帝は、アイシラの提案通りアクアマリンと《からのかんむり》の管理をベルトルトに任せてくれた。
ミッションコンプリート。百点満点の出来である。
「今後はどうしますか? わたしは
「僕も同じだよ。他の国のことは本や
リーフとベルトルトがアイシラにそう
特に決められたわけでもないのに、すっかりアイシラがリーダーだ。
「そうねえ、とりあえずメインとなる選択肢は三つあるわ。
船に乗って西・南・東の地域に向かうの」
ここ、クリスタルパレスはどちらかというと定番のファンタジー世界の
とすればヨーロッパ風といえようか。
南に行けば同じヨーロッパ風だが、もっと戦争の激しい
西に行けば西部開拓時代のアメリカ風。
東に行けば中華風。気功や呪符を使った特殊スキルを習得することができる。
どこへ行っても結局は邪神の
まだ出会っていない主人公キャラは4人。
はたしてどんな連中なのやら。
「タカキは?」
「ん?」
「あんたはどんな所へ行きたいの?」
タカキはしばし首をかしげていたが、やがて当たり前のことのように言った。
「どこでもいいよ。姉さんの行くところが俺の居場所だ」
「えっ……」
なぜだろう。
その言葉を聞いてアイシラの血は逆流し、顔が真っ赤になった。
「あ、あっそう」
耳まで赤くしたアイシラは、先頭に立ってズンズン先に進んでしまう。
人に見せられる顔をしていなかった。
(なに意識してんのよ、あいつは弟。弟なんだから)
ズンズンズンズン先へ行ってしまうアイシラ。
その先には港町がある。
すべてはそこに着いてから決めよう。
まだまだ旅は始まったばかりだ。
新しい国。新しい冒険。
まだ見ぬ敵と、同時に活動しているはずのプレイヤーたち。
すべてはまだ、これからだ。
レトロ神ゲーは伝説のバグゲーでした。弟をバグらせたら強すぎてあたしほとんど活躍してないけど別に良いよね? 卯月 @hirouzu3889
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