強くなりたかったはずなのに
ももいくれあ
第1話
いつも隣を歩いていたのに、
気づいたら違ってた。
いつの間にか背中を見ていた。
肩を並べていたはずなのに、
肩の触れ合っていた頃は、
素直すぎて、甘えてばかりで、
困らせてばかりだった。
時々振り返っていた頃は、
隙間風が身にしみて、
夏の終わりを感じていた。
そのまるまった背中を懐かしく感じた頃は、
ちょっとは大人になれたみたいで、
いつも、とても穏やかだったね。
その細くて短い影は、
冬が来るコトを教えてくれた。
どんどん強くなっていって、
ふんばりだってきいてきて、
泣き顔だって時々で、
みんなそうして生きていて、
でも、やっぱり、辛くって、
ひとりぽっちは淋しくって、
せっかく大人になれたのに、
大人になったひきかえに、
甘え方を忘れてしまった。
困らせなくなれたから、
弱音を吐かなくなっていた。
強くなるコトとひきかえに、
大事な人を失った。
そんな気がしてならなかった。
いつも私の中に存在(いた)、
あの人はどこへ行ったの、
いつでも手をつないでいたのに、
いつもみていたはずなのに、
いつの間にか見失って、
迷子になってしまったみたいで、
でも、抜け道を解って(しって)いるから、
もう、ひとりでも平気だった。
ずっと、隣(そば)にいたかった。
泣いてばかりいたかった。
ほんとはそんなに強くないのに、
強いふりをしすぎたのカナ。。。
強くなりたかったはずなのに ももいくれあ @Kureamomoi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます