地球がダンジョンに!?物好きなおっさんと幽霊と美女たちのダンジョンサバイバル!?

三国洋田

第1話 地球終了!?

 なぜか首から下が土に埋められているぞ!?


 なんだこの状況は!?

 いったいどうなっているんだ!?


 俺はなんでこんな状態になっているんだよっ!?

 これからどうすれば良いんだ!?


 ああっ!?

 混乱して頭の中がぐちゃぐちゃだ!?


 ここは深呼吸をして、いったん落ち着こう!!


 ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、げふぅっ!?


 くっ、なんということだ!?


 吸いすぎてしまったぞ!?


 だが、今のでちょっと落ち着いたかな。



 さて、まずは何をしたら良いのだろう?


 ええと、そうだなぁ。


 とりあえず、周囲を観察してみようか。


 色取り取りの美しいウサギの耳のようなものが、地面から生えている。


 しかも、それらは畑の作物のように規則正しく並んでいる。


 これらは人工的に植えられたものなのかな?


 その向こうには土の壁が続いている。


 一ヶ所だけ横穴が開いている。


 上を見ると、所々白く光っている土の天井が見える。


 ここは大きな洞窟の中のようだ。



 なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!!!!!


 ここはどこなんだ!?


 俺はなぜこんなところにいるんだ!?


 訳が分からなさすぎるぞ!!!


 いったい俺は何をやっていたんだ!?


 ちょっと思い出してみようか。


 ええと、確か朝、普通に起きて、日課のランニングをしていたような……


 あっ、そうだ!


 その時、突然暗くなって、空に巨大な岩の塊のようなものが現れたんだった!


 しかも徐々に地上に近付いて来ていたんだよな!


 そして、突然大地が揺れて、周囲の地面が隆起し始めたんだったな!


 その後、頭に強い衝撃を受けたような気がする。


 覚えているのは、ここまでだな。


 そして、気が付いて今に至るわけか。


 なんだそれは!?

 訳が分からなさすぎるぞ!?


 これはまさか!?

 地球に隕石が衝突して、俺は死んでしまって、天国に来ているということなのか!?


 いや、この状況だと地獄に来てしまったのか!?


 おいおい、勘弁してくれよ!?


 俺は割と真面目に生きてきたはずだぞ!!


 多分!!!



「あの妙なバニモンはなんでゴザル? なぜ頭だけ出ているのでゴザル?」


 ん!?

 聞き覚えのない声が聞こえたぞ!?


 近くに誰かいるのか!?


 ちょっと呼びかけてみよう!


「誰かいるのか? ちょっと聞きたいことがあるのだが?」


「な、なんだとでゴザル!? 拙者の声に反応したでゴザルか!?」


「なんで驚いているんだ? 声なら普通に聞こえるぞ?」


「そ、そんなバカなでゴザル!? 今の拙者は幽霊のようなものなのにでゴザル!!」


 えええええええっ!?


 幽霊!?


 何を言っているんだ、こいつは!?


「あっ、そうか! やはりここは死後の世界なのか!? ということは、俺も幽霊なのか?」


「いや、ここは現世でゴザル。お主は生きていると思うでゴザル」


「そうなのか? なら、なんで幽霊の声が聞こえるんだ!?」


「それは不明でゴザル」


「おおっ、分かったぞ! これはイタズラだよな!? 幽霊なんているわけないよな!? そうに決まっているよな!!」


「いや、イタズラではないでゴザル。現に他の者には見えなかったうえに、声も聞こえなかったでゴザル」


「しつこいと嫌われるぞ。それで、君はどこにいるんだ? 姿を見せてくれよ」


「お主の正面にいるでゴザル。どうやら姿は見えないようでゴザルな」


「正面には、地面とウサギの耳のようなものと壁が見えるぞ」


「拙者はそのどれでもないでゴザル」


「……ということは、本当に幽霊!?」


「本当に幽霊でゴザル」


「本当の本当に?」


「本当の本当に幽霊でゴザル」


 ぎゃああああああああああああああああっ!!!!


 ウソだろ!?

 勘弁してくれよ!?


 ホラーはあまり得意じゃないってのに!?


「なんで成仏しないんだよ!?」


「それは拙者にも分からないでゴザル」


 誰かこいつを成仏させてくれ!!



「ところで、お主は『エントゥリィ・シィトゥ』をどう思っているでゴザルか?」


「エントリーシート? 幽霊も就職活動をするのか? 就職活動は大変だよな」


「ふむ、やはりお主は『バニモン』ではないようでゴザルな」


「バニモン? なんだそれは?」


「この星に攻め込んできた敵でゴザル。周囲に生えているものがバニモンの幼体でゴザル」


「えっ!? 敵!? このウサギの耳が!?」


「そうでゴザル。この星に巨大な岩の塊のような宇宙船が来たはずでゴザル」


「ああ、確かに見たな。あれは宇宙船だったのか……」


「あれには敵の親玉のエントゥリィ・シィトゥという者と、部下のバニモンが乗っていたでゴザル。ついでに拙者も乗っていたでゴザル」


「そうだったのか。そいつらが地球をこんな風にしたのか?」


「地球というのが、この星の名前なのでゴザルか?」


「ああ、そうだよ」


「なら、その通りでゴザル」


「なんでこんなひどいことをしてくるんだよっ!?」


「侵略だと思うでゴザル。各地の星で環境を破壊し、バニモンを繁殖させているでゴザル」


 そんなのが地球に来たのかよっ!?


 なんてこった!?

 頭が痛すぎるぞ!?



「そういえば、なんで敵の親玉について尋ねたんだ?」


「バニモンは生まれつきエントゥリィ・シィトゥに従うようになっているからでゴザル」


「なるほど、そうやってバニモンかどうか判断したというわけか」


「その通りでゴザル」


「では、なぜ俺をバニモンだと思ったんだ?」


「その頭の上のもののせいでゴザル」


「えっ? これか?」


 俺は頭に付けているウサギの耳のカチューシャを指差した。


「そうでゴザル。バニモンは全員それを付けているでゴザル。だから、お主をバニモンと思ってしまったでゴザル」


「そうだったのか」


 バニモンとやらは全員俺と同じ趣味なのかな?


 話してみたら、気が合うかもしれない。



「ところで、君は何者なんだ? 宇宙人なのか?」


「その通りでゴザル。そういえば、自己紹介がまだだったでゴザルな。拙者の名前は『ニンジヤ・デハナイ』というでゴザル。ニンジヤと呼ぶでゴザル。出身は『シーノ・ブキィナイ』という星でゴザル」


 さすが宇宙人、聞き慣れない名前だな。


「そうなのか。俺は『梅野うめの大地だいち』だ。よろしく」


「よろしくでゴザル。ウメノと呼べば良いでゴザルか?」


「ああ、それで良いよ。それにしても、ニンジヤは日本語が上手なんだな」


「日本語? それはなんでゴザルか?」


「えっ!? 言語の名前だ。今しゃべっているだろ!?」


「拙者が使っているのは『シーノ・ビィ語』でゴザルよ?」


「えっ!? なら、なぜ日本語に聞こえるんだ!?」


「それはよく分からないでゴザル。不思議な現象でゴザル」


 なぜなのだろうか?


 幽霊の声が聞こえるせいなのか?


 うーむ、考えても分からんな。


 仕方ない、この問題は後回しにしよう。


 正直、割とどうでもいいしな。



「これからどうすれば良いのだろうか?」


「お主ひとりではどうにもならんでゴザル」


「なら、このまま死ねと言うのか!?」


「死んで幽霊になったら、拙者が友達になってあげるでゴザル」


「友達になるのは構わないけど、死にたくはないぞ!?」


「冗談でゴザル。まあ、とりあえず、精一杯生きてみるでゴザル」


「そうだな。そうしようか。あれ?」


「どうしたでゴザルか?」


「今俺の前にあるウサギの耳が動いたような……」


 突然ウサギの耳が小刻みに震え出した。


 な、なんだこれは!?


「これは!? バニモンが生まれるでゴザル!!」


「ええええええええええええっ!?」


 この状態で敵が生まれるだと!?


 これは俺の人生終了なのか!?


 勘弁してくれよ!!!



 そんなことを考えていると、何かが土の中から出て来た。


 なんだあの変な格好の美女は!?


 身長は一五〇センチくらい。


 力士のちょんまげのカツラ、白いウサギの耳のカチューシャ、力士の肉襦袢にくじゅばんを身に着けている。


 こいつが成体のバニモンなのか!?


 なんでそんな格好をしているんだよ!?


 訳が分からなさすぎるぞ!?

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