第2話 嘘っ!
あれからとんとん拍子に事は進み、俺は晴れて「私立霞山大付属霞山高校」に入学、勿論男子高だ。
いよいよ入学式当日。
昨夜から興奮気味の俺は、足取りも軽く駅に向かった。
電車に乗り周りを見回すと、同じ学ランを着たピッカピカな奴や、先輩男子がウヨウヨいる。
お~やった!女いないってほっとしていた矢先、突然前の女性が立ち上り、凄い勢いで降りて行った。その時俺の手は、彼女に弾かれスマホを落としてしまった。
「あっ!すみません」
俺はぼそっと呟き、下を見ると落としたスマホがない。
えっ!如何して?と焦った次の瞬間、
「はいこれ!」
爽やかな声と共に差し出された俺のスマホ。
「あっ!有難うございました」
その瞬間……俺は恋に落ちていた。
かっ、可愛い!サラサラの少し長めの黒髪が……眼鏡はかけてないけど、くりくりとした目元に桜色の唇! そしてその唇が、
「同じ学ランだね。おっと~降りるよ!急いで!」
飛び降りた俺は、そのまま黒髪くんに引っ張られ端に寄せられると、なんと彼は自己紹介を始めた。
「僕は、一年の砂川優弥です。ヨロシクね」
「俺は……宮下信也です。ヨロシクお願いします!」
優弥が叫ぶ!
「わ~遅刻!遅刻する~信也走るよ!」
こんなとこで君が自己紹介始めるから、俺たちは学校まで猛ダッシュしているんだよ! 桜並木の続く遊歩道、花びらが舞う中を俺たちは走った!其処此処に花びらを纏う俺たち。
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