外法衆侵入! その四
一九一九年七月 帝居地下 神殿区画
◆
先ず、〈
蝉丸は先程の発砲で多野を相手に選んだらしく、橋姫の相手は蔵主 社長と綾に決定した。
踏み込み時の
反応が遅れたのか、蔵主、綾ともに動けない。
『はきょくどー!』と技名を叫んだ橋姫は、瑠璃家宮 像触手部分の破壊に成功する。
橋姫がいま使用している金剛力士・剛力法は、その名の通り剛力を授ける秘術だ。
正確には、対象の赤血球を増殖させて酸素供給量を上げ、
この時点で橋姫の赤血球数は成人平均より四〇パーセントほど増加しており、彼女が力を込めて一般人を殴れば豆腐の如く潰れてしまうだろう。
そんな橋姫が繰り出す体当たりは、
然も突進力が有り余り、瑠璃家宮 像を損傷させた後も走り続ける始末だ。
今度は触手を展開していない左半身を狙う橋姫。
橋姫の怪力と狙いを理解した瑠璃家宮 陣営は恐怖に
〈
目標に向かい突進する橋姫に攻撃音波を浴びせた。
音波は見事着弾。
身体側面に食らった橋姫が吹き飛ばされた。
上手く受け身を取れず、床に後頭部を打ち付けてしまう。
橋姫は直ぐ上体を起こすも、
「……ぅぅっ、ゔえ~~~~~~~~~~~~ぇん!
いだいっ、いだいぃよぉ~~~~~~~~~!
っぐぅ……ゔぅうっ……ギコぉ~~~おんぉん……ゼミマルぅっゔぅ……」
泣きじゃくる橋姫を戦闘中にも
『橋姫はプリンセスなんだろ。
その程度でピーピー泣くな。
怪我した師匠や死んだ武悪に笑われっぞ』
『油断してしまいましたね。
今度からは相手の能力を考えて行動してみましょう』
「……ゔん、わがっだ……。
チュウジョウとブアクみだいにやっでみる!」
軍服の
対する橋姫は、迫る音波を
『――おん・あろりきゃ・そわか――』と
次に、
『――なうまくさんまんだ・ぼだなん・はらちびえい・そわか――』と
続けて右手の薬指と小指は立てたままで親指を掌側に折り、その上に人差し指と中指を第二関節から折り乗せる形の
『――なうまく・さんまんだ・ぼだなん・ばやべい・そわか――』と
迫る橋姫に蔵主がサベージM1907で射撃。
だが蔵主の射撃は
本命は綾の攻撃音波だ。
射撃で退路を断たれた橋姫へ攻撃音波が迫り、橋姫 前方に設置された
轟音はそのまま橋姫を吹き飛ばすかと思いきや、橋姫を中心に渦巻く風によって
もう銃撃も音波放射も間に合わない。
蔵主は何とか
『ギュルルルルルルルルゥゥーーーーーーーーーッ!』
風を纏った橋姫が蔵主と綾に到達。
ふたりの中間地点で両手を伸ばし、竹トンボの如く回転した。
「ぐるぐるーーーー!」
その場で回転する橋姫の姿は
綾の孕み子が
一方の蔵主は、右腕の
水分不足により本領発揮は出来ないものの、人体組織の斬断ぐらいは問題ない。
ましてや、眼前の対象は身長こそ並外れているが幼女である。
その
柔らかくなかった。
もはや
蔵主に二回転目が迫る。
彼は左腕の
「そぉ、そんなぁぁ……」
敢え無く折り飛ばされ橋姫の剛腕を食らってしまった。
結局吹き飛ばされる破目になった綾と蔵主に対し、
「みたか!
たる、じゃなかった……ろしあのあかきさいくろん!」
文句を間違えたのか言い直した橋姫……。
彼女が勝ち誇る
橋姫は目が回ったのか、
そこを見逃さなかった蔵主が反撃を試みる。
蔵主の接近に気付いた橋姫は再び
蔵主は身を屈めて
両
橋姫はまだ回転途中。
そのまま足を斬断しに掛かった。
出来なかった。
連壁法による
鋼鉄をも超える硬さを備えた肌が、又も
◇
外法衆侵入! その四 了
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