突撃!隣のU・M・A!

青木のう

プロローグ

プロローグ ――VS河童――

 UМAユーマ。それは未確認生物とも言われ、それらを見たという話や噂はあるがその生物自体の捕獲などがされておらず、実在が確認されていない生物のことである。略さずに言うとア、アンナントカ……それはどうでもいい。いま重要なのは、俺の目の前で起きている出来事だ。


「に~し~、柳田 駿やなぎた しゅん~」

「よっしゃ! 全力全開だ!」

「ひが~し~、河童 六十四郎かっぱ ろくじゅうしろう~」

「おら、かかってこいや!」


 ここは河童が多く住むと言われる筑後川流域。

 その川沿いに造られた、即席の土俵。

 土俵に立つのは俺こと、柳田駿。対するは河童の河童六十四郎。

 そして行司を務めるのは、褐色の肌に銀髪の宇宙人ミューピコ。


「駿、がんばりなさ~い! あんたに地球の命運はかかっているわ~! あとついでに先輩の尻子玉しりこだま~!」

「ふにゃにゃ~ん」


 応援してくれるのは幼馴染の今宮 葵いまみや あおいと、尻子玉を抜かれてすっかりふぬけてしまった我らがUMA部部長である千賀院 丈せんがいん じょう先輩。


(そうだよな、地球の命運がかかっているんだよな)


 そう、これはただの相撲じゃない。

 河童が相手だからか? いや、違う。地球の存亡をかけた大一番だからだ。

 ここで俺が勝たないと動画を撮影できない。だから地球は滅ぶ。


 ……うん、わからないよな。当事者の俺でさえ、なんのこっちゃと思う。


 この世に潜む未確認生物を明らかにし、調査し、研究する謎の部活UMA部へ体験入部した俺を待ち受けていたのは、不思議すぎる体験の数々だった。これはUМAなんてまるで知らなかった俺が宇宙人と出会い、そして地球存亡をかけた冒険を繰り広げた、始まりの一週間の物語だ――。

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