誰かの思い出
@kakihana_ojimo
日曜日
小学生の頃、日曜日が嫌いだった。
今思えばなぜ、日曜日が嫌いだったのかよく覚えていない。
ただ、とにかく日曜日が嫌いな子供だったのだけは知っている。
日曜日は嫌でも休みは好きだった。
ずっと本を読めて、友達と遊べて、父親も家にいて、学校に行かなくて良くて。
そんな休みはいつも楽しみだった。
だから日曜日は嫌でも、土曜日は好きだし、祝日も好きだし、長期休暇はもっと好き。
ただただ、日曜日だけが苦手。
日曜日に苦手な物があるわけではない。
寧ろ、朝早起きすれば特撮を観られるし、夕方には好きなアニメもやってるし、大河ドラマも楽しみだった。
たとえ友達との約束が無くても、家族との予定が無くても、スケジュールだけはずっと予約済み。
だから、朝から晩まで楽しいこと尽くしの日曜日を心待ちにしていた。
日曜日を過ごす事が嫌いでも、日曜日にだけは期待していた。
嫌な事が何一つ無い。
なんて事は、それでもない。
例えば、ヴァイオリンのレッスンが日曜日にあるのは好きじゃない。
友達と遊べなくなるから。
他に何もできなくなるから。
たとえレッスンがなくても自主練は毎日しなきゃいけない。
特に、発表会の前は完璧になるためにいつもより長く練習するのが辛い。
でも、音楽が好きで、ヴァイオリンが好きで、上手くなるのが嬉しかったからそれも嫌いじゃない。
だから、どちらかと言えば好きに満ち溢れる一日であり続けたはず。
そんな事をぼんやり考えたらまた、日曜日が終わる。
10年経過して少しだけ大人になった今でも日曜日は嫌いだ。
何故ならば終わるから。
やりたい事。楽しみな事。それは全てが詰まった1日が終わってしまうから。
僕は昔から終わる日曜日が嫌いだった。
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