第580話 燃やす

「彼女とは、付き合ってんの?」


「いや、付き合ってねーよ。ただの幼馴染だっつーの。一緒にいる期間が長すぎて、女としてもう見れねーって」


「えー? いや、そんな距離感じゃねーだろ。ほんとはどうなんだよ」


「ホントに違うって」


「ちぇー。つまんねー」


~・~・~


 彼が、友達とそんな話をしているのを聞いてしまった。


 確かに私もそんな感じだったけれど、でも女として見られていない、と言われると逆に対抗心が燃えてくる。


 絶対に女として意識させてやる。


~・~・~


 と、こんな風に思っているんだろうな。


 扉の向こうに、彼女の姿が見えた。


 聞き耳を立てているんだと思って、彼女に聞こえるように言ってやる。


 彼女の対抗心を燃やす。


 そろそろ、彼女と関係を進めたいから。

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