第570話 焼きそば

 夏祭り。


「何でこんな時の焼きそばって無性に食べたくなるんだろうね」


 隣の彼女が言う。


「食べたいの?」


「うん。でも、一つは多いんだよね。他の屋台料理も食べたいしさ」


「じゃあ、分けよっか」


 彼女の表情が明るくなる。


 焼きそばを一つ買ってベンチに座る。


「うん。おいしいね」


 彼女が焼きそばを美味しそうに食べる。


「ん」


 焼きそばを差し出してくる。


「ありがと。……うまいな」


「……あ、ついてるよ」


 彼女が僕の唇についたソースを舌でとる。


「おいしい」


「……!」

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