第13話 薬
ある病気にかかった。
特効薬はなく、あと余命1年だそうだ。
両親に先立たれた僕にとってはどうでもよかった。
しかし、ごくわずかだが自然治癒した例もあるため、延命措置がとられている。
まだ死ねないらしい。
することがないため、病院をうろつく。
幸い、病院の中を自由に歩くことはできた。
窓から、中庭で日向ぼっこをしている子供を見かけた。
売店で本を買ってから、中庭へ向かう。
中庭に着くと、窓から見かけた子供が話しかけてくる。
「あのねー、ぼくねー、明日しゅじゅつなんだー」
「おう、がんばれよ」
なぜだか、僕は話しかけられやすい体質で、よくいろんな人に話しかけられる。
優しそうな顔なのだろうか、はたまた死にそうな顔だから心配で声をかけているだけなのだろうか。
話すことは嫌いではないため、数分話をした。
子供は、病室へ戻っていった。
中庭のベンチで、買った本を読んでいると、ふと女性から話しかけられた。
「いい天気ですね」
本を閉じ、顔を上げる。
——病気が治った。
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