ねこち日記
ふじあつむ
第1話 名前はねこち
吾輩は猫である。名前はねこち。
ねこちという名前は、新しい家主が付けた。安直だが、家主が「ねこち」「ねこち」と愛着をもって呼ぶため、拒みきれない。
新しい家主は吾輩を溺愛している。どれくらい溺愛しているかというと、脳内で吾輩を召喚できるほどである。
ここで、ひとつ注釈を挟む。
吾輩は猫である。が、この世に実態はない。
家主が『吾輩は猫である』の猫をひどく気に入ったために、脳内に生まれた架空の人物、否、架空猫である。吾輩の姿は家主以外には見えない。楊貴妃に優るとも劣らない、吾輩の毛並みを披露できないのは、誠に遺憾だ。その代わり、この物語をもって、吾輩の存在をそっと皆に伝えようかと思う。
吾輩は猫である。名前はねこち。
存在は、していない。
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