6.傀儡

6.傀儡

そして、昨今頻発している"著名人殺し"が同一人物又は同じ組織の計画なのであれば、この構造は共通しているのではないだろうか。先入観は良くないが今後の捜査では一つの可能性として頭の中に置いておくことにする。そんな思考を張り巡らせながらソナタは浴室へと移動しシャワーを浴び始めた。仮に今回のターゲットが彼女の父親だとしたら、プランナーの策略ではマリオネットはソナタ自身であり、きっとどこかにクライアントがいるはずだ。まずはこの"クライアント"を探し"プランナー"への手がかりを得ることにした。そして、なぜ自分がこのような状況に追い込まれたのかを紐解いていく…。


入浴を終えて指定のカゴに着ていた衣服を入れ、用意されていた部屋着に着替え、髪を乾かしてから元のソファに戻ると彼女が座っていた。感謝の意を伝えると小さく頷いたがさっきまでの元気はまるでなく意気消沈している。やはりあれは彼女の父親だったのだろうかと思い、しばらくそっとしておくことにした。その間も、ソナタは事件解決のために頭をフル回転させ、現場の映像を呼び覚まし脳内で再検証を開始する。いま持っている情報はここにしかない。どんな些細なことでも見落とさぬようソナタは集中していた。こうして、2人の会話がないまま少し時間が経過したころ女性のほうから口を開く。


 私、行ってくるわね。


 どちらへ?


 父の…遺体の確認よ。


 ----わかりました。それでは私はそろそろ失礼します。


 いいえ。ゆっくりしてくれて構わないわ。


 ありがとうございます。でも私は事件コンサルタント。事件を解決することが仕事なんです。


 事件コンサルタント?そんな職業初めて聞いたわ。でも解決するって、どうやって?


 私は事件現場から立ち去る前に可能な限り捜査をしました。そこでいくつかの手がかりを見つけたのです。


 じゃあ道すがら話を聞こうかしら。外出用の服を用意するわね。


 え?でも…


 あなた、車もなくどうするつもりだったの?


 あ、たしかに、、、そうですね!


ソナタという人物は、優れた頭脳を持つ一方で少し天然なところもあるようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る