14.演出
14.演出
2人は席についてすぐにホットコーヒーを注文した。クライアントの堂々とした態度や表情に変わりはなく、ソナタの推理にどこまで気付いているのかは推量れない。
お疲れ様でした!これまでの調査結果と、私の見解をお話しますね。
ええ。お聞かせ願いましょう。
まず私が気になったのは牛乳です。
牛乳?奥さんが買いに行ったという?
はい。だって、旦那さんは翌朝牛乳をかけてシリアルを食べたって言ってたじゃないですか。なら、牛乳はあったってことですよね?使用人の方には買いに行かせないと言っていましたし、夜中に空いてる店はあの辺りにはないでしょうから、元から自宅にあったと考えるのが自然です。
ほう。牛乳があったのに奥さんに買いに行かせた、と。その理由は?
もちろん、事故に見せかけ奥さんの運転する車で被害者を殺害するためです。
やはり私の考えは合っていたということですね。しかしどうやって?タイミングよく彼を奥さんの運転する車の前に立たせるなんて、できないでしょう。
それが、これを使えばできてしまうんです!
ソナタはタブレットを取り出し台本の1ページをクライアントに見せた。そこには、今回の事故の経緯と類似したシーンが書かれている。閉店前にどうしても買わなければならないものがあり急いで車を走らせ事故を起こしてしまうという場面だ。注文したコーヒーが来たので2人は口をつけ一息つき、会話を続けた。
たしかに今回の状況とよく似ているが、それが何か?
被害者である演出家は、旦那さんからお礼の電話をした際、後日会う時にこの作品の意見がほしいと言っていたと聞きました。そこで、私はこの電話の会話内容に答えがあるではないかと思ったんです。
うーん…まだ見えないが、2人の会話の内容なんてどうやって知るのでしょう?電話会社が提供してくれるものなんですか?
はい。親会社からさっき通話データを受け取りました。いまここで聞きましょう。
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