8-3日目 原因と過程とその結果

「あ、あのね……私、この前帰宅途中にひったくりにあったの。その時当たりどころが悪くて思いっきり倒れちゃって……右腕骨折しちゃったの」


「……なるほどー?」


 普通に犯罪者が出てきたんですけど!?あ、もしかしてそれを取り返したのが……。


「で、その荷物はその時は結局取られたままだったんだけど……」


 いや取り返さなかったんかい!いつになったら先山出てくるのさ!


「ちょうど通りかかった先山くんがね?その……通報してくれて」


「ほほぅ……?」


「それでね?入院した後も先山くん、私のこと病院までわざわざ見に来てくれて……」


「……」


 先山は愁香さんのことが好きなのかな……?それとも何かしら関わってて責任感感じてたとか……?


「で、でね?先山くんすっごく優しくて……」


 あ、ここからは先山褒めるだけだ絶対。


 私の読みは的中して、数分間ずっと先山の良いところを聞いた。正直少し引いた。




「あ、どうでした!?」


「……事故で骨折したのを看病してくれたって」


「な、なるほど……?まぁ先山さんしっかりものですし、顔もそこそこイケてますもんね。あんな雰囲気になってもおかしくないですね!」


「あー、うん、そだねー」


「でも、まさか松岡さんだけじゃなく先山くんもあんな感じになるとはねー」


 キッチンの方から白熊木さんが話しかけてくる。あの人ホントに色々知ってますね……。


「んー、看病してたら松岡さんの行動を目にして何かがズキューンってきたのでは?」


「ずきゅーん……なるほどー、わからん」


「言いたいことは伝わったけど口下手ではあるかな、十時ちゃんは」


「えぇー」


 白熊木さんにそんなこと言われたらなんか悔しく感じてしまいます。多分雰囲気というか、存在的に小馬鹿にしてる感じがするからでしょうか。


(小馬鹿には失礼だよ十時ちゃん……)



 そんなこんなで。


 復帰した松岡さんと先山さんは元々の性格的に仕事中は前と変わらずテキパキ動いてましたとさ。


 え?私?もちろんミスして叱られましたとさ!


――――――――――――――――――――――

次回へ続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る