我等は定刻、茶化ラ塚「過激」団

作家:岩永桂

第01話 聖魔法使いミュミュの宅急便

第一章【FFQ】FIRST FANTASY QUEST


磐咏 圭 KEI      IWANAGA

吉賀美幸 MIYUKI   YOSHIGA

原田千春 CHIHARU  HARADA

小宮正剛 MASAKANE KOMIYA


小宮正剛、通称:NEKOはゲーム・マスター。

FFQの戦士の名前は、迷わずネコにした。

勇者の名前はケイで、魔法使いの名前はミュミュ。

テレ関で『聖魔法使いミュミュ』と言うアニメを放送している関係で。

僧侶はハルチにした。CHIHARUを入れ替えた結果。


僕の旅のお供は、こう言う面子である。一つ嘘を吐いたが

すぐにバレることになっているから、ここでは訂正しない。

ゲーム・マスターくんの言を信じれば、序盤のレベル上げは無駄らしい。

ガンガン進んで、装備を整えて、ワンランク上の敵と戦うことで

自然と通用する編成に仕上がるのだと。


そんなことはいいんだ。ゲーム・マスターくんの粋な計らいで

今日は我が家にネコと美幸ちゃん、ハルチが遊びに来ることになっている。

僕とネコが学校でFFQの話をしていたら、

美幸ちゃんとハルチが話題の中に割って入って来た。


一番に我が家に着いたのはハルチで、次にネコ、

最後は美幸ちゃんと言うことになりそうだ。

気を利かせて、コンビニエンスストアで飲み物を買って来ると言い出したネコ。

「荷物持つから、千春も手伝ってくれよな」

「はあい、じゃあ磐咏くん、お留守番、よろしくね?」

磐咏=イワナガ 旧字体っぽい難しい名字。

「莫っ迦、ここはケイん家だろうが!」

「あっ、そっか。失礼だったかしらん?」

ガヤガヤした会話が、庭先まで聴こえる。


~♪ ~♪ ~♪

規則正しいインターホンの音が、子機を通じて聴こえる。

間違い無い、美幸ちゃんだ。

子機にはモニター画面が付いていないので、美幸ちゃんの異変に気づいたのは

およそ1分後のことだった。

ミュミュを連想させる黒いとんがり帽子に、真新しい竹ぼうき。

上下は長州区立蒲郡坪郷中学校の女子の制服のままだったけど、よく似合ってた。

多分、やらかしたのはネコだろう。……ナイス、ネコ!


まさかだけど、コンビニエンスストアのトイレとか向かいの公民館で

ネコとハルチもコスプレったりするのか?

僕はどうすれば勇者らしく振る舞えるだろう?

とりあえず、我が家にある清涼飲料水で喉の渇きを潤して貰うことに。

「……コク、……コク、……コク。……あ~、オアシスだねえ♪」

CMの子役のように美味しそうに飲んでみせる中学2年生の女子。

「ん、じゃあ、先に始めちゃおっか」

「うん、これがウワサのFFQだね」

DISCは入っているのだが、古典的なマジック・ショーの冒頭のように、

確認の為にフタを開いて美幸ちゃんに中身を確認して貰う。

気を取り直して、スイッチ・オン!

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