第87話 勝負の約束と罰ゲーム
そして、そんな言葉を聞いた一輝は、
「勝負ですか?」
そう言い返すと。
「ええ、ただ全教科で勝負となるとさすがに数が多いので、国語、数学、理科、社会、英語の5教科で勝負をしませんか? 普通にテスト勉強をするよりもこういう勝負事が絡んだ方がより試験勉強に身が入って、一輝くんも今以上に試験勉強を頑張れると私はそう思ったのですが」
綾香はそんなことを言ったので、一輝はその提案を聞いてから少しだけ考えてから。
「確かに綾香さんの言う通り、勝負事が絡んだら試験勉強により力が入るというのは間違いないと思います。でも、綾香さんには申し訳ありませんが、僕はこの勝負を受ける訳にはいきません」
一輝がそう答えると。
「えっ、それは何故ですか?」
綾香はそう言ったのだが。
「だって、綾香さんは毎回学年10位以内に入るくらいに成績がいいのに、僕なんかじゃあ勝負になりませんよ」
一輝はそう答えた。すると、
「えっと、でも、数学の点数ならきっと一輝くんは私に勝てると思いますよ」
綾香はそう言ったのだが。
「確かに、数学の点数だけなら僕は勝てるかもしれません。でも、他の教科で綾香さんに勝つのは恐らく無理なので、綾香さんには申し訳ありませんが、最初から負けると分かっているのにその勝負を受ける訳にはいきません」
一輝はそう答えた。すると、
「そうですか、でも、確かに一輝くんの言う通り、普通に勝負をしたのでは私が有利になってしまいますね……それなら、少しだけ一輝くんに有利な条件を付けてあげます」
綾香はそう言ったので。
「僕に有利な条件ですか?」
一輝がそう質問をすると。
「はい、そうです、恐らく総合点で勝負をするとなると私が勝ってしまうので、さっき私が言った5教科でそれぞれ勝負をしましょう。そして、一輝くんが数学と他に何か1教科でも一輝くんのテストの点数が私の点数を上回っていたら一輝くんの勝ち、そうでなければ私の勝ちという条件ではどうでしょうか?」
綾香はそんなことを言ったので。
「えっと、本当にそんな条件でいいのですか?」
一輝がそう質問をすると。
「ええ、勿論です、恐らく今までの成績は私の方がよかったので、これくらいの条件を付けないと不平等だと思います、それに」
そこまで言うと、綾香は一度言葉を切ってから。
「こう言ってはなんですが、私は数学以外では一輝くんにテストの点数で負けるつもりはありません、でも、一輝くんは数学以外では私に勝てるとは思っていないのですか? それなら仕方がありませんが、この勝負は無かったことにします」
綾香にしてはかなり珍しく、一輝を少し挑発する様にそんな事を言ったので。
「……いえ、そんなことはありません、確かに綾香さんの方が僕なんかより成績がいいですが、それでもそこまで言われたら、綾香さんの彼氏として引くわけにはいきません、綾香さんの言う条件でいいのなら、その勝負受けて立ちます!!」
一輝がそう言うと。
「そうですか、分かりました、それなら罰ゲームは勝った方が負けた方のお願いを何か1つだけ聞くというのはどうでしょうか?」
綾香はそんな事を言ったので。
「えっ、罰ゲームがあるのですか?」
一輝がそう質問をすると。
「ええ、勿論です、ただ勝負をするだけだとそこまでやる気が起きないと思うので、本気の勝負をする為には、何かしらの罰ゲームは必要だと思います、でも、一輝くんはこんな罰ゲームは嫌ですか?」
綾香はそんな事を聞いて来たので。
「いえ、嫌ではないです、もしそれで勝てたとしたら、僕としてもかなり嬉しいですから。でも、綾香さんはいいのですか?」
一輝がそう質問をすると。
「いいって、何がですか?」
綾香がそう質問をして来たので。
「その、もし綾香さんが勝負で負けてしまったとしたら、僕のお願いを何か1つ聞かないといけないんですよ。それでもし、その……例えばエッチなお願いをされたらどうしようとか、そんな不安は無いのですか?」
一輝がそう質問をすると。
「えっと、確かに一輝くんの言う通り、そういった不安が全くないというと嘘になります。でも、大丈夫です、一輝くんはとても優しいので私が嫌がるようなことは絶対にしないと私は信じています!!」
綾香はそう言うと、一輝の方を見上げてから。
「そうですよね、一輝くん」
綾香はそう言って一輝の方を見上げると、満面の笑みを浮かべてそう言ったので。
「……ええ、勿論です」
一輝はそう答えた。一輝としては綾香の方からそんな事を言ったので、もし勝てたとしたら、少しくらいはそういうお願いをしてもいいかなと、一輝はそう思っていたのだが。
綾香にそんな事を言われたら、一輝としては綾香の期待を裏切る訳にはいかず、素直に分かりましたと答えるしかなかった。そして、
「えっと、それならもし綾香さんがこの勝負に勝ったとしたら、僕にどんなお願いをするつもりなのですか?」
一輝も一応、綾香に対してそう質問をすると。
「内容についてはまだ決めていません、でも、安心して下さい、例え私が勝負に勝ったとしても、一輝くんが嫌がるようなお願いはしませんから」
綾香はそう言ったので。
「そうですか、ありがとうございます」
一輝もそう答えた。すると、
「コンコン」
一輝の部屋のドアがそんな風にノックされた。
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