知らぬ者の選択
俺は最低の男だ
君の事を純粋に愛そうと ずっと努めてきた
それなのに
あの刻を境に 俺の中で何かが崩れ去ってしまった
あの刻以来 俺は心の中で
飢えた獣のように 夢中で君の肉体を追い求めている
幾度振り切ろうとも 決して尽きる事のない欲望に身悶えながら
俺は 俺がまだ無邪気でいられた頃の事を思い出す
今ではもう 君に合わす顔がない
美しい君を敬う気持ちと
力のままに汚してしまいたいという衝動とは分かち難いものとなり
愛の名はますます憎悪へと似てきた
真実を求めてさまようこの足が 英知へと近付いて行く程に
だんだんと 愚者の気持ちが分かってきた
今 すべてを捨て去ってしまえば
また 君を愛せるだろうか
終わる事のない甘美な夢と引き換えに
儚い愛を手に入れる事に 一体どれ程の価値があるだろう
俺が迷い続けている間にも
まさに君は消え去ろうとしている
堕ちたものは
再び昇る事はない
消えたものは
再び現れる事はない
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