贖罪からの脱却

 たとえ かりそめの平和であろうとも


 民は それを手放す事が出来ない


 何故なら それを手に入れるために彼らは


 自らの手を汚したし


 自らの生命を懸けたのだから


 多くの同胞の生命が失われたし


 多くの同胞の魂の上に それは成り立っているのだから




 たとえ 人を殺めるための剣であろうとも


 騎士は それを手放す事が出来ない


 何故なら それを手放す事は 彼らが


 自らの行いを否定し


 自らの存在意義をも揺るがす事なのだから


 ほかの誰もそれを望んではいないし


 彼らの存在こそが 国を成り立たせているのだから




 たとえ 砂上の権力であろうとも


 王は それを手放す事が出来ない


 何故なら それを手放す時には


 彼は死ぬであろうし


 常に誰かが それを奪う瞬間を狙っているのだから


 それを維持する事は


 それを手に入れる事そのものより難しい




 たとえ 彼らが聞く耳を持たなくとも


 私は 言い続ける


 捨てる事は罪にならない


 逃げる事は罪にならない


 たとえ 誰も許さなくとも


 私が許そう

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