旅人

 慌てなくていい


 急がなくていいんだ


 一歩一歩を踏み出すだけさ


 それでいつかは辿り着く




 車なんて要らない


 自転車も必要ない


 僕には二本の脚がある


 それでどこへでも行けるんだ




 乗り物がなくても バッグなんか持たなくても


 どこへでも出かけて行く


 椅子に掛かった上着を羽織って


 どこへでも出かけて行く


 ポケットにありったけの夢詰め込んで 歩いて行く


 気の向くままに




 時計なんて持ってない


 時間なんて見てない


 朝だろうと夜だろうと構わない


 今 僕の前にあるものが真実さ




 履き古した靴と この二本の脚だけで


 どこへでも出かけて行く


 床に脱ぎ捨てた上着を拾って


 どこへでも出かけて行く


 ポケットに希望のかけら忍ばせて 駆け出すのさ


 風が吹くままに

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