似てるなあ

 お前が見ているのは


 愛じゃない


 ただ 自らが見たいと思ったものを


 鏡像に描き足しているだけ


 お前が見ているのは


 私ではない


 今も夢を見続ける事ができるのは


 時計の秒針だけ


 その先端を


 私達は ただ必死に追っていたに過ぎない


 その律動が


 私達を歌わせ 或いは踊らせていただけ




 言っている事


 お前なら 分かるだろ


 でも 飽くまでも首を横に振るというならば


 ずっと振り続けていい


 すぐに目が醒めるさ




 お前が奏でているのは


 旋律じゃない


 自分の耳に栓をしている事に ちっとも気付かないなんて


 昔のお前はどこへ行った


 そうではない 私が忘れかけていただけなのかも


 昔のその昔のお前


 右手には


 墨がたっぷり染み込んだ筆を持って


 左手には


 真っ黒な紙を何十枚も


 寝ている時以外はいつでも


 落書き帳の代わりになる奴を追っかけてたくせに


 忘れてしまったんだな


 捕まるのは毎日 私だった




 どこへも行けないお前は


 お前は


 私

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